朔に届くと思われたその瞬間、凛が目の前に立ちはだかった。

「──っ! 凛……」

 凛は寸でのところで結界を施し、朔と自分の身を守った。

「朔……私はあなたの部下だ」

「……」

 凛の言葉をじっと聴く朔。
 そのまま凛は言葉を紡ぐ。

「だが、その前に私にとってあなたは、一人の幼なじみでもある。その幼なじみと共に闘いたい」


「……」

 朔は少しの間の沈黙の後、一つため息をついて凛から目を逸らして言った。

「勝手にしろ」

「はい、勝手にします」

 凛は朔に微笑む。


「話は終わったか? 俺にとっちゃ一人も二人も変わらねえ、一気に相手してやるよ」

「そうですか、では遠慮なく、お相手していただけますか?」

 凛は今度は朱羅に微笑んだ。
 そして凛は朔に向かって告げる。


「朔、あの日の約束を覚えていますか?」