「朔様っ!」

 凛は押されている朔の様子を心配し、思わず声を発した。

(やはり、私は……私は……)

 凛の中で葛藤が起こっていた。
 指揮官としての責務と、幼なじみを心配する思い。

(おそらく、あなたは私に叱るでしょう。ですが、私はあなたが当主になったときに『命に代えても守る』と決めました。だから……)

 凛は傷つく朔を見ながら、朔のほうへと駆けだした。