「お母様! 唯(ゆい)!! どうして……どうして……誰がこんなこと……」

 朱羅が家に帰ると、そこには真っ赤に染まり、息絶えた朱羅の母親と妹がいた。
 そしてそこには、涼風家の家紋がついた鞘が残されていた。

「これ……千里がいつも身に着けてる刀……」

 幼い子供の思考が『家族の仇』の存在を認識するのは容易かった。