「まったく……やんちゃなのは変わらないわ」

「お前そっくりじゃないか」

「そんなことありませんわよ! 私はもっと素直でいい子でした。お兄様こそやんちゃですぐに乳母を困らせていましたわ」

「ま、そんなこともあったかな?」

 千里と朱羅の母親が言葉を交わして微笑みあう。
 
 そんなことを話しているうちに、井戸から戻ってくる朱羅。
 いとおしそうに眺め、妹の小さな手をそっとつつく。

 朱羅にとって、妹の誕生は心の支えでもあった──