結月は自分自身の意識より早く、身体が動いていた。
 自分の頭を下げて迫る木々を避け、木の根を飛び越えて進む。
 前を向き、ただひたすら真っすぐに森を駆け抜ける。

 冷静な表情を見せる結月だが、頭の中は熱くなっていた。

(まさか……、本当に……、本当に奴が……)

 他の三人とは違い、結月にはその気配に心あたりがあった。

(あの日…………、感じた気配と同じ……。ついに来たの?)