その場にいた全員がこれまでに感じたことのない、鋭く洗練された妖気に顔がこわばる。

「…………」

 霧のように消えた妖魔との戦闘を話していた、瀬那と蓮人。
 話し終わった直後の圧倒的妖気の発生に、息を飲んだ。

 実桜も静かに気配を読み取り、この先の行動を考える。

「宮廷から……だよな……?」

 蓮人が気配に押されながらも、その場にいた全員に尋ねる。

「……ああ……」

 瀬那、蓮人、実桜の三人が一瞬動けなくなっている最中、結月は何も言わずすでに宮廷へ駆けだしていた。

「っ! 結月っ!」

 蓮人が叫ぶがもう結月の耳には届いていなかった。