「──っ!」

 蓮人は咄嗟に刀を眼前で受け止める。
 蓮人に襲い掛かった妖魔は、攻撃を受け止められると、ふらりと離れ、距離をとる。

「瀬那!」

「任せろ!」

 瀬那のほうに向かった妖魔は、ふらりふらりと浮遊するように動く。
 その動きを見極めるように目をこらす瀬那。
 
 ふらりと動くことにより、妖魔は分身しているようにも見える。
 瀬那は妖魔のほうに向かい走り出す。

 その目は透視の能力により、瞳孔が開いている。

「くそっ、透視じゃ見えねぇ」

 瀬那の刀は空を切る。

「役に立たねえバカ瀬那がっ!」

「んだと?!」

 瀬那と蓮人は口喧嘩を始めるが、妖魔のその行動に何の反応も示さない。
 妖魔は男の姿をしているが、まるで能面のように表情を変えず、ただ不気味に刀をふり瀬那と蓮人に襲い掛かる。