『様子を見に行く暇などない』


『お父様っ! お母様がっ!』



 子供ながらに父親にすがりたい気持ちを跳ねのけられた記憶が、瀬那の正常な判断を阻む。

「あの……時……あんたがそばにいれば、母さんは……」

 瀬那の刀に敵の刀が襲い掛かる。

「死なずに済んだかもしれないっ!!」

 結界を張り、刀ごと押し戻す瀬那。
 敵は大きく態勢を崩し、膝をついて一瞬動きが止まる。

 瀬那はその後も思いをぶつけながら、攻撃を仕掛ける。
 その攻撃はいつもより荒く、力任せなものだった。