「まあ、もとよりお前に選択肢はない」

 朔が椅子から立ち上がり、捨て台詞のようにいった。

「……」

 そのあと何かを話したが、結月には聞こえなかった。

 すると、朔と入れ替わるように入室した二人の子供のうちの一人が、男たちに声をかけた。

「守り人の皆様は、朔様がお呼びですので、恐れ入りますがいつもの場所へご移動をお願いいたします」

「……瀬那(せな)、何かしましたか?」

「何もしてないですよ!なんで疑うんですか、凛さん!」

 瀬那と呼ばれた金髪の男は凛に疑いの目を向けられている。

「いや……だって、全員の呼び出しは久々ですし、何かあるとしたら瀬那関連くらいでしょう。ねえ、実桜(みお)」

「はい」

 黒い長髪の男が凛の呼びかけに素直に返答した。

「いや、そこは否定しろよ、実桜!」

 呆然とする結月の目の前を『守り人』と呼ばれた四人が通り過ぎていく。

「それでは、また」

 にこっと微笑みながら去っていく凛。
 まだ言い合いを続けながら、守り人たちは広間をあとにしていく。

 やがて、しんとなった空間にコツコツと靴音と共に、二人の影が結月に近づいてくる。
 12、3歳ほどの容姿をし、同じ姿をした子供が現れた。

「こ……ども……?」

 よく見ると髪色や服装も同じ。
 顔もよく似ているため、双子のようだった。
 一人は紺色の着物に暗めの紫の髪の毛。右のほうにわずかに癖毛が目立つ。
 一方もう一人は淡い桜色の着物を着ており、同じく暗めの紫の髪の毛。今度は左のほうにわずかに癖毛が見えた。


「失礼します」

 そう言うと、結月を縛る縄を解いていく。
 久しぶりの手足の自由に違和感を覚えながらも、手を開いたり閉じたりしながら感覚を蘇らせていく。

「……あ、ありがとう」

「朔様より、結月様のお世話を仰せつかりました、二条 永遠(とわ)でございます」
「二条 美羽(みわ)でございます」

 丁寧にお辞儀をして挨拶をする双子に、おもわず結月もお辞儀をする。

「結月様にはこれから暮らしていただくお部屋にご案内いたします。こちらでございます」

 手を差し出しながら、自分たちについてくるようにと促す双子に結月はおとなしくついていった。
 『暮らしていただく部屋』に不安と期待をよせながら──