「実桜さん!」

「はい、あの男の持つ鏡から強い瘴気を感じます」

 結月はあの鏡に禍々しさを感じ、自らの双剣の片方を鏡に向かって投げた。
 結月の投げた刀は見事鏡にあたり、鏡の破片が飛び散る。

 すると、崩れていた屋敷がもとに戻り、ぐらつきもおさまった。

 鏡が割れた拍子に若い男の霊は屋敷の裏口のほうへと逃げていく。

「鏡の幻……」

「はい、おそらくあの男の霊は妖魔で、鏡を使い幻を見せて油断させていたのでしょう」

「実桜さん、瀬那さんと蓮人くんの気配が消えたのは、あの妖魔の仕業でしょうか」

「そう考えるのが自然でしょう。ひとまず、妖魔を追いましょう」

「はい」

 結月と実桜は姿を消した妖魔を追いかけた──