二人は最後の一室にたどり着いた。
 この屋敷の主人であった人物の部屋のようだが、掛け軸、刀、鎧、骨とう品が置かれている。

「何もおかしなところねえよな」

 すると、蓮人の問いに瀬那が真剣な顔で答える。

「いや、おかしい。これだけの老朽化、10年はくだらない年数たってる。なのに、骨とう品やら何やら揃っているのはおかしくないか?」

「──っ!」

 瀬那の推察通り、通常であれば野盗に物品などはおおよそ盗られ、何もないことが多い。
 しかし、あまりにこの屋敷のものは建物のわりに【揃いすぎている】。

 
 その時、瀬那と蓮人の立っている床がぐらぐらと揺れ始めた。

「なっ!」

 瀬那と蓮人は咄嗟に受け身を取るも、態勢を崩され膝をつく。
 突如として起こった揺れは、さらに勢いを増し、柱が大きく崩れてゆく。

 崩れ行く柱が瀬那と蓮人を襲う。

「やべえ!!」

 瀬那が慌てて結界を張るも、一足遅かった。
 柱や崩れ行く天井が瀬那と蓮人の上にのしかかる。
 
 その一瞬、瀬那は、掛け軸の前に目を見やった。

 そこにはにやりと笑う若い男の霊が佇んでいた──