そんなある日の放課後、私は部室に向かっていた。
私が所属している部活は吹奏楽部。
音楽は好きだ。
思ってることを、感情を、音にして吐き出す事ができる。
今日は部活のない日だ。
だけど、私は自主練をしている。
静かな部室は気持ちが良くて、素直に感情を音楽にのせる事ができる。

だから今日も、音楽を奏でた。
私の中の何かが叫んでいるかのような演奏。
それはまるで、助けを乞うような悲痛な叫びだった。
どんなに吐き出しても、今日はなかなかすっきりしない。
どうして、なんで、なんなの、。
ああ、もう訳が分からない。
むしゃくしゃしてしまい、音がずれてきた。
もう切り上げて帰ろうと顔を上げたその時、目の前に、予想外の人物がいた。
高野頑摩くんだ。
高野くんはようやく気づいたとでもいうように手をふった。
まったく気づかなかった。
しかも、何でここにいるのだろうか。


でもそっか。
君は、この演奏を聞いちゃったのか。