今日のなかで楽しかった時もあった。
でも、今日は楽しかったかと訊かれるとそうではない。
ただ、特に悪い事が起きた訳でもない。
だけど、楽しくはなかった。

高校一年生の九月、わたしは心に穴がぽっかり空いたような喪失感にさいなまれていた。
もう一年の半分もすぎたというのに、こんな状態がずっと続いていた。
だからかもしれない。
私はいつも平気そうな顔しかしない、隣の席の高野 頑摩(たかの がんま)くんが嫌いだった。