「ミーくんためになるなるならばとokしたけど、後でいっぱい泣いた。

何で別れるって言っちゃったんだろうって。

テレビに映るミーくんの周りにはいつも綺麗な女の子がいて、やっぱりそういう子が好きなんだって。

だからミーくん好みに整形して、お化粧もおしゃれも勉強した。

そういえば、付き合っていた頃はそんな努力しなかったね。

彼女って事で甘えていたのは、私の方だったね。

ミーくんがこういうものが好きって言えばそれを買って。

高いものばかりだったから、お店で買えなくて仕事を辞めて夜の仕事をして。

とんだストーカーね。私。

買い物はオークションサイトに変えた。

そのサイトの売り手さんで仲良くなった人がいて、プライベート何でも話せる仲になったの。

その人は私と同じ歳で、駆け落ちして好きな人と結婚した人がいたの。

それが夏帆のママ、薫さんだった」

 夏海は夏帆を抱いている女性を見た。

「羨ましかった。

好きな人と一緒になれた彼女が。

だから、ミーくんと再会した時は嬉しかった。

またやり直せるかと思った。

お布団で名前を呼んでくれた時はほんと嬉しかったんだよ。

でも、ミーくんは私の事なんか全然覚えてはいなかった。

あの部屋だってニ人で暮らしたアパートなのに。

ミーくんが帰ってから悔しくて悲しくて泣いた。

その頃彼女が妊娠したって聞いて、その事を利用しようとおもったの。

妊娠検査薬とお腹のエコー写真、借りて。

死ぬ気で演技したよ。

プロのミーくんにバレないように。

それでもミーくんは振り向いてくれなかった。

そんな時彼女から相談されたの。

お腹の子は浮気相手の子だって。

幸せに見える彼女にも色々あったんだね。

旦那さんが近々海外転勤から一時帰国してくるのでどうしようって相談されて、
悪い考えが浮かんだ。
夏帆を借りて、この子を私が出産したことにすれば、ミーくんと一緒になれるって考えて。

このチャンスにすがる気持ちで薫さんに土下座して頼んだ。

赤ちゃんを貸してくださいって。

薫さんも泣いて、協力してくれた。

でも三人の日々を過ごしているとこの子は本当に私たちの子供なんじゃないかと思えて手放すのが辛くて。

だから契約期間を伸ばして返さなかった。

湊に本当の事を言わなくちゃって思ってたけど、言えなくて。

2人とも、本当ごめんなさい。」

 そう言うと、夏海は薫と湊に深々と頭を下げた。

 夏海が悪いんじゃない。

 全部俺が悪いんだ。

 全ては、いい加減な俺が招いた事だった。

 彼女を救うために恋人になったのに、
いつのまにか自分の事しか考えていない男に成り下がっていた。

 その生き方は今も同じではないか。