「ありえなーい! 付き合って一日目なのに用事で先に帰っちゃうなんてー!」
私はそう叫んでクレープにかぶりつく。
「ドラゴンでも倒しに行ったんじゃないの」
隣に座る楓がニヤニヤしながらクレープを頬張る。
「病院って言ってた」
「へー。用事はまともなんだね」
「でも、やっぱりまともじゃない」
私はバナナクレープをごくんと飲み込んでから、大きな大きなため息をつく。
飲料メーカーの名前がでかでかと入った安っぽいベンチに楓と二人で座り、スーパーの駐車場の隅っ子にいる移動販売車のクレープを頬張る。
ああ、私はこの悲しい絵面から脱却できたと思ったのになあ。
しかも相手はあの藤堂君。大好きな彼と付き合えたというのに。
「杏奈ってさ、なんで藤堂君がそんなに好きなの?」
唐突な楓からの質問に、私は「言ってなかったっけ?」と前置きしてから続ける。
「中学二年生の時ね、私、歩道橋を上がってたら、急に真っ逆さまに落ちちゃって。それで藤堂君が助けてくれたの」
「ものすごいドジだね」
「うーん。ってゆーかその時のこと、よく覚えてないんだけど、後ろにいた藤堂君がしっかりと私を受け止めてくれたのは覚えてる」
「あの細い体で?」
「細マッチョなんだよ」
私はそれだけ言うと、クレープを一口食べる。
それ以来、藤堂君は私の命の恩人。
ずっとずっと彼に片思いをして、高校まで追っかけてきたんだから。
「そして二年越しの片思いが実った途端に藤堂君が中二病を発病。おもしろいからSNSに投稿していい?」
「だーめ!」
私は慌てて楓のスマホを取り上げた。
すると私のスマホがポケットの中で振動する。
スマホの画面を開くと、藤堂君からのメッセージ。ドキドキしながら内容を読む。
病院おわったよ。今からドラゴンで魔界に帰るよ。あ、これみんなには秘密ね。
「恥ずかしくて誰にも話せないよ!」
私は思わずスマホの画面にツッコミを入れた。
あーあ。明日になったら中二病が治ってないかなー。
私はそう叫んでクレープにかぶりつく。
「ドラゴンでも倒しに行ったんじゃないの」
隣に座る楓がニヤニヤしながらクレープを頬張る。
「病院って言ってた」
「へー。用事はまともなんだね」
「でも、やっぱりまともじゃない」
私はバナナクレープをごくんと飲み込んでから、大きな大きなため息をつく。
飲料メーカーの名前がでかでかと入った安っぽいベンチに楓と二人で座り、スーパーの駐車場の隅っ子にいる移動販売車のクレープを頬張る。
ああ、私はこの悲しい絵面から脱却できたと思ったのになあ。
しかも相手はあの藤堂君。大好きな彼と付き合えたというのに。
「杏奈ってさ、なんで藤堂君がそんなに好きなの?」
唐突な楓からの質問に、私は「言ってなかったっけ?」と前置きしてから続ける。
「中学二年生の時ね、私、歩道橋を上がってたら、急に真っ逆さまに落ちちゃって。それで藤堂君が助けてくれたの」
「ものすごいドジだね」
「うーん。ってゆーかその時のこと、よく覚えてないんだけど、後ろにいた藤堂君がしっかりと私を受け止めてくれたのは覚えてる」
「あの細い体で?」
「細マッチョなんだよ」
私はそれだけ言うと、クレープを一口食べる。
それ以来、藤堂君は私の命の恩人。
ずっとずっと彼に片思いをして、高校まで追っかけてきたんだから。
「そして二年越しの片思いが実った途端に藤堂君が中二病を発病。おもしろいからSNSに投稿していい?」
「だーめ!」
私は慌てて楓のスマホを取り上げた。
すると私のスマホがポケットの中で振動する。
スマホの画面を開くと、藤堂君からのメッセージ。ドキドキしながら内容を読む。
病院おわったよ。今からドラゴンで魔界に帰るよ。あ、これみんなには秘密ね。
「恥ずかしくて誰にも話せないよ!」
私は思わずスマホの画面にツッコミを入れた。
あーあ。明日になったら中二病が治ってないかなー。