「呪いですと……? 陛下が、何者かに呪われているということですか?」
「そうでございます。太医にも薬師にも勿論診て頂きました。が、陛下のご様子を診るに、これは何者かが陛下にかけた呪いに間違いないとのことでございます……!」
何ということでしょうか。
陛下がここ数日臥せって房から外に出られなくなった原因が、何者かの呪いだと言うのですか。
陛下が帝位に就くまでの間、確かにこの国は荒れました。
前の皇帝の崩御の後、皇太子とその兄弟たちの後継争いは、血で血を洗う激しいものでございました。
相討ちとなってしまった兄弟たちをすり抜けて、私の幼馴染である劉嘉逸に、突然のように皇帝の座が舞い込んできたのが三年前。
それをいまだに何者かが恨み、呪っているというのでしょうか。
後宮に数多いるの妃の中の一人に過ぎない私が陛下のお役に立てるとは、勿論思っておりません。しかし、幼少の頃より多くの時間を共に過ごした皇帝陛下が呪われているとあっては、知らぬふりはできないのでございます。
「陛下の元に参ります。他の者は、私が呼ぶまで誰も房に入って来ぬように」
「はい、承知いたしました!」