五年も経てば、多くのことが変わる。
でも、変わらないものがあった。
約束と、私達の関係性。
友稀先輩なんかは、これを絆と言うんだろう。
「じゃあ、掘るか!」
友稀先輩の掛け声で、皆が鳴上先生からシャベルを受け取り、地面を掘り始める。
まるで学生時代に戻ったように、皆で笑った。
――今なら、信じられる。皆の想い。
例えば、久し振りと言う言葉。
――疑ってしまったこともあったけど。
先生も黒田君も――みんなも。ちゃんと覚えてくれていたんだ。
――しかも、凹んでた私自身が忘れてるって言うね……。
黒田君の電話越しの声が蘇る。
『思い出してくれて良かったです』
たぶん皆、そう言って優しく許してくれるんだろうな。
その優しさが上っ面だけのものでは無いことも、今の私だから信じられた。
「あった!」
今日一日を思い返しながらシャベルを動かしていたら、千夏が言った。
シャベルの先が固い物に当たった感触に、皆が次々にはしゃぎ始めた。
「開けますよ」
掘り起こしたお菓子の缶を、藍佳がそっと開ける。
「懐かしいな」
ふと溢した、しみじみとした先生の言葉。
それぞれが埋めた物を手にしていく。
「これは?」
私は、その中で自分宛の封筒を見つけた。
覚えのない、小さな封筒。
中身はおそらく便箋だ。
『あっ』
先生以外の三人が声を上げた。
裏を返すと、差出人は――
「――読んで、くれないか」
友稀先輩が私に言った。
その耳が赤いのは、夕陽のせいか。
後輩女子二人は、息を呑んで先輩を見守っている。
手紙の差出人は――有馬友稀。
先輩の名前を見て驚いた。
私は首を傾げながら、どきどきしつつ封筒を開けた。
中から一枚の便箋を取り出して、懐かしい、少し雑で丸文字な独特の先輩の字を読む。