彼等が向かう海上商業組合西支部はこの街リトル・グリーンの中心部にある。
控えめな装飾で味気ない建物、一見大き目の民家にしか見えないその建物だが周囲は組員がシフトパーソルを装備し警戒している。西支部と名称はあるが実質ここが本部の様なものだ。
一か月前、本部を構えていたメリアタウンは陥落し現存する支部はここリトル・グリーンと東大陸の玄関口グリーンズ・グリーンのみ。先にも述べた通り東大陸に比べ技術が飛躍的進んでいる西大陸が現状では本部として活動している。
「コレが実質本部ねぇ、やっぱりメリアタウンのは立派だったんだな」
アデルがレイとガズルの首根っこを掴んだまま西支部の入り口にまで来ていた。道中では中央大陸ではお目にかかれなかった賞品が並ぶ露店に二人が目を輝かせる度に掴む手に力を入れて正面を振り向かせる。そんな作業を十分程度繰り返して到着した。
「そろそろ放してくれないかな」
「馬鹿言ってんな、中に入ったら話してやるよレイ」
周囲の目が自分達に向けられているのを流石に恥ずかしがっている様子で顔を赤くしていた。ガズルはと言うと利き手でつかまれているせいか表情はレイと違って苦悶に歪んでいた。頸椎を圧迫されつづけて流石にそろそろ限界という処だろうか。
「わかった、なら早速入ろう今すぐ入ろう。首から下がしびれてきた」
「あぁそうだな、俺もそろそろ握力が無くなってきた所だ」
そう言うと一度だけ後ろを振り返りギズー達がはぐれていないかを確認し、目くばせをした。少しだけ距離を取っていたギズーがソレに気付き舌打ちをしたのを確認した後正面を向いて歩きだす。
「みっともねぇ所見せちまってるが話は通ってるな?」
「――本当に子供なんだな君達は、ただの噂だと思って居たがこれは負けたな」
扉の前でシフトパーソルを携帯している組員がアデル達を見て驚いていた。
「負けた?」
「いや何こっちの話だ、君達の噂は半年前からこっちにも届いていたんだが年端も行かない子供だとはとても思えなくてな、噂ってのは尾ひれがついて回るもんだろ? だから賭けをしてたんだ。が、俺は負けちまったみたいだ」
懐から紙幣を取り出して隣で笑顔でいるもう一人の組員に手渡した。
「ソレは気の毒な事で、それで俺達は入れて貰えるのかい?」
「あぁすまない、クリスさんから話は聞いてる。長い船旅ご苦労だったな、入ってくれ」
懐から通信機を取り出して何か話している、そしてすぐさま扉のロックが外されて開いた。そこでようやくアデルは両手で捕まえていたレイとガズルを開放すると中へと入っていく。バツが悪そうにレイが続き、ガズルは一度伸びをしてから中へと入る。
「――撃っとけばよかったか」
「騒ぎになるの嫌だったんじゃないの?」
「流石に道中あんな目で見られるならと今考えただけだ、さっさと行くぞ」
「はいはい、本当に仲が良い事で」
両腕を組んでため息を付きながらミトとそんな会話をして二人も中へと入る。その後ろからミラとファリックも続いて行く。全員が中へと入ったことを確認した後組員が扉を閉めて再びロックが掛かる。
「俺にはそんなにすごい餓鬼には見えないんだけどな、お前どう思う?」
「馬鹿言うな――剣聖レイ・フォワード、剣帝序列筆頭「黒衣の焔」、義賊カルナックの右腕とガンガゾンの末っ子。化物ぞろいだぞ、あの四人が居なきゃ今頃この西大陸もどうなってたか分からねぇって話だ、それをただの餓鬼とはお前の情報もその程度だって事だよ。餓鬼と言う名の鬼だよ。それに後の三人もな」
門前で見張りをしている二人の内、賭けに負けた組員が冷や汗を流しながらそう話していた。
控えめな装飾で味気ない建物、一見大き目の民家にしか見えないその建物だが周囲は組員がシフトパーソルを装備し警戒している。西支部と名称はあるが実質ここが本部の様なものだ。
一か月前、本部を構えていたメリアタウンは陥落し現存する支部はここリトル・グリーンと東大陸の玄関口グリーンズ・グリーンのみ。先にも述べた通り東大陸に比べ技術が飛躍的進んでいる西大陸が現状では本部として活動している。
「コレが実質本部ねぇ、やっぱりメリアタウンのは立派だったんだな」
アデルがレイとガズルの首根っこを掴んだまま西支部の入り口にまで来ていた。道中では中央大陸ではお目にかかれなかった賞品が並ぶ露店に二人が目を輝かせる度に掴む手に力を入れて正面を振り向かせる。そんな作業を十分程度繰り返して到着した。
「そろそろ放してくれないかな」
「馬鹿言ってんな、中に入ったら話してやるよレイ」
周囲の目が自分達に向けられているのを流石に恥ずかしがっている様子で顔を赤くしていた。ガズルはと言うと利き手でつかまれているせいか表情はレイと違って苦悶に歪んでいた。頸椎を圧迫されつづけて流石にそろそろ限界という処だろうか。
「わかった、なら早速入ろう今すぐ入ろう。首から下がしびれてきた」
「あぁそうだな、俺もそろそろ握力が無くなってきた所だ」
そう言うと一度だけ後ろを振り返りギズー達がはぐれていないかを確認し、目くばせをした。少しだけ距離を取っていたギズーがソレに気付き舌打ちをしたのを確認した後正面を向いて歩きだす。
「みっともねぇ所見せちまってるが話は通ってるな?」
「――本当に子供なんだな君達は、ただの噂だと思って居たがこれは負けたな」
扉の前でシフトパーソルを携帯している組員がアデル達を見て驚いていた。
「負けた?」
「いや何こっちの話だ、君達の噂は半年前からこっちにも届いていたんだが年端も行かない子供だとはとても思えなくてな、噂ってのは尾ひれがついて回るもんだろ? だから賭けをしてたんだ。が、俺は負けちまったみたいだ」
懐から紙幣を取り出して隣で笑顔でいるもう一人の組員に手渡した。
「ソレは気の毒な事で、それで俺達は入れて貰えるのかい?」
「あぁすまない、クリスさんから話は聞いてる。長い船旅ご苦労だったな、入ってくれ」
懐から通信機を取り出して何か話している、そしてすぐさま扉のロックが外されて開いた。そこでようやくアデルは両手で捕まえていたレイとガズルを開放すると中へと入っていく。バツが悪そうにレイが続き、ガズルは一度伸びをしてから中へと入る。
「――撃っとけばよかったか」
「騒ぎになるの嫌だったんじゃないの?」
「流石に道中あんな目で見られるならと今考えただけだ、さっさと行くぞ」
「はいはい、本当に仲が良い事で」
両腕を組んでため息を付きながらミトとそんな会話をして二人も中へと入る。その後ろからミラとファリックも続いて行く。全員が中へと入ったことを確認した後組員が扉を閉めて再びロックが掛かる。
「俺にはそんなにすごい餓鬼には見えないんだけどな、お前どう思う?」
「馬鹿言うな――剣聖レイ・フォワード、剣帝序列筆頭「黒衣の焔」、義賊カルナックの右腕とガンガゾンの末っ子。化物ぞろいだぞ、あの四人が居なきゃ今頃この西大陸もどうなってたか分からねぇって話だ、それをただの餓鬼とはお前の情報もその程度だって事だよ。餓鬼と言う名の鬼だよ。それに後の三人もな」
門前で見張りをしている二人の内、賭けに負けた組員が冷や汗を流しながらそう話していた。