「逃走したのは二人か三人、あの戦力じゃもう何も出来ねぇだろうからほっとけ」

 周囲に血と肉の焦げた匂いが充満している中ガズルが辺りを見渡してそう言った、最初の電撃で半数以上が焼け焦げると残りは散り散りに逃げ始めようとしていた。そこをアデルが切込み一通り殲滅させていた。

「一年前の復讐か何かか? それにしても装備揃えてやがったなこいつら。んで、それなんだ?」

 振り回していた剣を鞘に納めるとガズルに近づいた、当人は見慣れない機械を触っている。全部で五十台あってどれも最初の電撃でショートしていた。

「ホバーウォーマー、これも西大陸原産の蒸気機関だよ。遠くだったから見えなかったけど、コレがあるなら電撃戦法何て取らなかったんだがなぁ」
「なんだ、使えないのか?」
「初手の電撃でほぼ全滅、一部のコイルがショートしてやがる」

 ここ中央大陸でも時々見かける小型の蒸気機関、蒸気を機体の下から噴射して浮力を得る。更に後方の噴射口から排熱することで浮いたまま前進する機械である。

「……でもオカシイと思わないかアデル、いくら格安で手に入ると言ってもこの量のショットパーソルとこれだけのホバーウォーマーを集めるなんて結構な額なんだ。それを何だってこいつらがこんな代物これだけの量手に入れられんだ」

 故障してないホバーウォーマーを探しながら不満そうに漏らした、それにアデルがキョトンとした顔で答える。

「盗賊団なんだしどこかからかっぱらって来たんだろ? こいつらの懐事情なんて当時から良く知ってるけど買える訳がねぇ」