東大陸の中央部、ひときわ大きな城が建つケルヴィン領主城はそこにあった。
大きな城門に城下町、にぎわう商店街。厳重警備による門番は破られる事はなかった、この城は代々ケルヴィン家に生まれる長男だけがその後を継ぐ事が出来る王族である。
ここは、幾度と無く戦争と戦乱が起きている。その大半の勢力は帝国との衝突、帝国はケルヴィン領主が占めている領土を狙って度々攻めてくるらしい。その所為で以前は兵力が不足していた時期があった、だがここ半年は兵隊が一人も死んでいないと言う奇妙な噂が流れている。その噂は本当だった。
帝国の下っ端兵士をいくら送り込んだ所で場内にいる一人の少年に全滅させられてしまうからだ。その少年の名前は“ギズー・ガンガゾン”、東大陸で殺人狂と言われ最高位の医者とも言われている。
彼は偶然に中央大陸からこの東大陸へと渡った、一つ目の偶然は中央大陸の南部にいた事、二つ目の偶然はそこを通りかかったケルヴィン領主の一行をある種の病気から救った事。そして三つ目はケルヴィン領主が帝国を嫌い、そしてこのギズーという少年の事を気に入ったからである。
「……」
だからこそこの少年はここにいる、ケルヴィン領主の城内の一室。広々とした部屋が彼の部屋だ。
「全く」
彼は一日中部屋から出ずに外の景色を眺めていた、彼自身さっさとこの退屈でしょうがない場所から逃げ出したいと考えていた。
「フィリップの奴め、俺を一体いつまで拘束しているつもりだ」
少年は現在のケルヴィン領主の名前を呼び捨てでぼやき、近くにあった領主の壁紙に向かって吐き捨てた。
「俺を無理矢理こんな所に押し込めやがって、俺は一刻も早くあいつの事を探さないといけねぇのによ。あぁ! ちくしょう!」
ベッドの上にばふっと飛び乗り体が沈んでいく感覚を味わった。
「ギズー、そんなに騒がないでくれ。落ち着かないではないか」
急に壁が二つに開いた、そこから大きなモニターとスピーカーが出てきた。モニターにはフィリップが映し出されている。
「いい加減に俺を自由にしてはくれねぇか? 退屈でしょうがないぜ、これなら帝国の雑魚兵達と遊んでる方が幾分マシだ!」
「そうはいかない、帝国も少しは分かってきたみたいだ。“帝国特殊任務部隊中隊長レイヴン・イフリート”をこちらへと向かわせたらしい、つい先日南部の街で戦闘があったと報告を受けている」
「レイヴン? そんな奴俺がぶっ殺してやるさ、あいつと会う為には何でもしてきた。本当なら今すぐにでもこのくそつまらねぇ城から抜け出してまた旅をしたいぐらいだ!」
「しかしだな」
少年がポケットから煙草を取り出して火を付けた、一息ついてから煙を口から吐き出してその煙が消えるまで眺めていた。
「俺はダチを探してんだよ」
「ならばその親友も我が城に招待すればいい話ではないか」
「それじゃぁ意味がねぇ、俺が探して見つけないと意味がねぇんだ!」
煙草を口にくわえながらベッドから起きあがり吸い殻が沢山積まれている灰皿で煙草の火を消して暗い表情でまたモニターを見つめた。
「っけ、面白くもねぇ!」
そう言うとギズーは剣と銃を持って部屋を出た。フィリップにはギズーが部屋を出たときの扉が勢いよく閉まる音だけ聞こえた。
「面倒くせぇ……何で俺がこんな目に遭わなきゃ行けないんだよ」
部屋から出たギズーは外に出る為に廊下を歩いていた、そしてイライラしながら敬礼してくる兵士達の顔を見ずに重たい足を上げながら歩いている。
「煙草も残り少しか、そろそろ禁煙でもするかな」
少し笑いながらそう言いつつまた煙草を一つ取り出して火を付けた。
中庭に付いたギズーは適当な大きさの石に座って黙って煙草を吸っていた、何処か苛つきながら空を見上げる、青い空に所々高い雲が浮かんでいる空を見上げている。
「レイ、お前は何処の空を見てるんだ?」
遠い場所を見ているかのようにずっと空だけを眺めている、静かでほんのり乾いた空気が煙草の味を一層コクのある物にしていく。それが今のギズーにはとても気持ちよかった。そして美味しかった。
「暇だなぁ、何かこう……面白い事とか起きねぇかな?」
冗談交じりにそう言った瞬間城内で大きな爆発音が聞こえた。
「あ?」
重い腰を上げて爆発した方を見る、そこには二人の少年らしい人間が立っている。二人はきょろきょろと辺りを見回しながらズカズカと城内へと侵入し始めた。
「へぇ、あの門番を倒したのか、やれるな彼奴等」
他人事のようにクスクスと笑いながら煙草を吹かす、そして再び俺には関係ないと石に座りながら空を見上げた。
大きな城門に城下町、にぎわう商店街。厳重警備による門番は破られる事はなかった、この城は代々ケルヴィン家に生まれる長男だけがその後を継ぐ事が出来る王族である。
ここは、幾度と無く戦争と戦乱が起きている。その大半の勢力は帝国との衝突、帝国はケルヴィン領主が占めている領土を狙って度々攻めてくるらしい。その所為で以前は兵力が不足していた時期があった、だがここ半年は兵隊が一人も死んでいないと言う奇妙な噂が流れている。その噂は本当だった。
帝国の下っ端兵士をいくら送り込んだ所で場内にいる一人の少年に全滅させられてしまうからだ。その少年の名前は“ギズー・ガンガゾン”、東大陸で殺人狂と言われ最高位の医者とも言われている。
彼は偶然に中央大陸からこの東大陸へと渡った、一つ目の偶然は中央大陸の南部にいた事、二つ目の偶然はそこを通りかかったケルヴィン領主の一行をある種の病気から救った事。そして三つ目はケルヴィン領主が帝国を嫌い、そしてこのギズーという少年の事を気に入ったからである。
「……」
だからこそこの少年はここにいる、ケルヴィン領主の城内の一室。広々とした部屋が彼の部屋だ。
「全く」
彼は一日中部屋から出ずに外の景色を眺めていた、彼自身さっさとこの退屈でしょうがない場所から逃げ出したいと考えていた。
「フィリップの奴め、俺を一体いつまで拘束しているつもりだ」
少年は現在のケルヴィン領主の名前を呼び捨てでぼやき、近くにあった領主の壁紙に向かって吐き捨てた。
「俺を無理矢理こんな所に押し込めやがって、俺は一刻も早くあいつの事を探さないといけねぇのによ。あぁ! ちくしょう!」
ベッドの上にばふっと飛び乗り体が沈んでいく感覚を味わった。
「ギズー、そんなに騒がないでくれ。落ち着かないではないか」
急に壁が二つに開いた、そこから大きなモニターとスピーカーが出てきた。モニターにはフィリップが映し出されている。
「いい加減に俺を自由にしてはくれねぇか? 退屈でしょうがないぜ、これなら帝国の雑魚兵達と遊んでる方が幾分マシだ!」
「そうはいかない、帝国も少しは分かってきたみたいだ。“帝国特殊任務部隊中隊長レイヴン・イフリート”をこちらへと向かわせたらしい、つい先日南部の街で戦闘があったと報告を受けている」
「レイヴン? そんな奴俺がぶっ殺してやるさ、あいつと会う為には何でもしてきた。本当なら今すぐにでもこのくそつまらねぇ城から抜け出してまた旅をしたいぐらいだ!」
「しかしだな」
少年がポケットから煙草を取り出して火を付けた、一息ついてから煙を口から吐き出してその煙が消えるまで眺めていた。
「俺はダチを探してんだよ」
「ならばその親友も我が城に招待すればいい話ではないか」
「それじゃぁ意味がねぇ、俺が探して見つけないと意味がねぇんだ!」
煙草を口にくわえながらベッドから起きあがり吸い殻が沢山積まれている灰皿で煙草の火を消して暗い表情でまたモニターを見つめた。
「っけ、面白くもねぇ!」
そう言うとギズーは剣と銃を持って部屋を出た。フィリップにはギズーが部屋を出たときの扉が勢いよく閉まる音だけ聞こえた。
「面倒くせぇ……何で俺がこんな目に遭わなきゃ行けないんだよ」
部屋から出たギズーは外に出る為に廊下を歩いていた、そしてイライラしながら敬礼してくる兵士達の顔を見ずに重たい足を上げながら歩いている。
「煙草も残り少しか、そろそろ禁煙でもするかな」
少し笑いながらそう言いつつまた煙草を一つ取り出して火を付けた。
中庭に付いたギズーは適当な大きさの石に座って黙って煙草を吸っていた、何処か苛つきながら空を見上げる、青い空に所々高い雲が浮かんでいる空を見上げている。
「レイ、お前は何処の空を見てるんだ?」
遠い場所を見ているかのようにずっと空だけを眺めている、静かでほんのり乾いた空気が煙草の味を一層コクのある物にしていく。それが今のギズーにはとても気持ちよかった。そして美味しかった。
「暇だなぁ、何かこう……面白い事とか起きねぇかな?」
冗談交じりにそう言った瞬間城内で大きな爆発音が聞こえた。
「あ?」
重い腰を上げて爆発した方を見る、そこには二人の少年らしい人間が立っている。二人はきょろきょろと辺りを見回しながらズカズカと城内へと侵入し始めた。
「へぇ、あの門番を倒したのか、やれるな彼奴等」
他人事のようにクスクスと笑いながら煙草を吹かす、そして再び俺には関係ないと石に座りながら空を見上げた。