地上から銃声が聞こえる、そこにはファリックが両手に銃を構えて巨人の目を狙ってトリガーを引いていた。聞こえた銃声は一発、だが巨人の目に着弾した弾丸の数は全部で十二発だった。ミラはそれを確認すると口をいっぱいに広げて。

「ざまぁみろ!」

 笑顔で叫んだ。

 後方でそれらを見ていたレイ達には一瞬何が起きたのか理解できなかった。彼等も聞いたその銃声、確かに一発だけのはずだった。しかし巨人の顔に残された弾痕は十二発。それは間違いなかった。ギズーはその異常な光景を目にして咄嗟にファリックへと視線を落とす。
 ファリックの体は少しだけ後ろへと押され出したかのように下がっていた、それを見たギズーが今この少年が何をしたのかを咄嗟に悟った。

「まさか……今の一瞬でシリンダーの弾丸全部を打ち出したのか」

 驚異的、まさに驚異的な早打ちである。
 そう、答えは簡単だが決して真似をすることなどできないその技術。ファリックはあの一瞬で片方六発の弾丸を二丁全て打ち切っていたのだ。銃声が一発しか聞こえなかったのではない。全ての銃声が一発に聞こえてしまうほどの速度で早打ちを行っていたのだ。
 一発の弾丸の威力で足りなければそのすべてを一度にぶつけてしまえばいい。言うことは簡単だが、いざヤレと言われれば誰もが首を横に振るだろう。シフトパーソルの扱いに長けているギズーですらそんな芸当不可能なのだ。

 光線の発射部分を潰された巨人はついに抵抗することができなくなり、次第に痙攣をおこしていた巨大な体はその機能を停止し始める。ゆっくりと動かなくなった巨人をミラはその目で確かに確認した。巨人はゆっくりと後ろへと倒れ始め、木々を倒しながら森へと倒れた。