赤いジャンパーの少年が何とか言葉を発することが出来た。隣の少年は未だ苦しんでいる様子だ。ゆっくりと二人の体を地面に降ろして一息つかせる。二人は咽ながらも辺りを見渡して状況を判断しようと必死になっている。この様子であれば特別何か深刻なダメージがあるわけでもなさそうだ。

「おーい、俺も降ろしてくれよギズー」
「ベルトを撃ち抜けってのか? そんなことするぐらいならテメェでその枝どうにかしろ」

 アデルが木の上からギズーに助けを求めた。が、面倒そうにその申し出を却下したギズー、断られたアデルも「それもそうだ」と頷いて剣を抜くと枝を切り落とした。しかし彼の場合その下に枝は無く、体の向きを変える前に正面から地面へと落下して顔面を強打する。それも固い土の場所だったのだろう、落ちた場所はへこみもせずクッションの役割もせず落下時の衝撃をそのままアデルへと返した。落ちた瞬間激痛と共に声にならない叫び声を出して地面でジタバタしていた。

「あの、どなたか存じませんが助けて頂いて本当に有難うございます」

 赤いジャンパーの少年がやっと落ち着いて感謝の言葉を述べた、そして隣で未だにパニックになってる少年の背中を叩いて落ち着かせる。そんな二人の後ろにレイがやっと降りてきて抱きかかえていた少女を一度ガズルに渡す、自分のジャンパーを脱いでそれを少女の体にかぶせてもう一度抱きかかえる。

「君達、何で空から落ちてきたんだ?」

 未だに意識を失っている少女を抱きかかえたままレイは少年二人に問いかける、その言葉に赤いジャンパーの少年は振り向き抱きかかえられている少女を見て声を上げた。

「姉さん!」
「姉さん? この子君のお姉さんなのかい?」