「サンキューなギズー、海上商業組合(ギルド)はどんな状況だった?」

 近くまで歩いてきたギズーだったが、近くの木陰に座り込み持ってきた飲料をアデルに投げる。右手で受け取るとそのまま木の上に居るガズルへと放り投げる。目線はそのまま上がってきた飲み物を左手でキャッチする。もう一本ギズーはアデルへと放り投げて今度はそれを自分様にとキャッチした。
 それぞれ容器を開けて水分を補給し始めた、購入した時はさぞ冷たかっただろうそれは多少生ぬるくなっていてアデルとガズルはそれに対して苦情を言った。

「ぬるっ!」「冷たくねぇぞギズー!」

 座り込んで自分の飲み物を口に持って行き、二人と全く同じ感想をギズー自身も呟いた。仕方ないと言えば仕方ない。メリアタウンからこの山頂付近までは一時間程度の道のりで、この蒸し暑い中を移動してくればぬるくもなるだろう。しかしギズーはもっともらしい事を二人に叫んだ。

「文句があるなら次からはテメェらで行け!」

 ごもっとも、この直射日光が降り注ぐ真夏の炎天下の中メリアタウンにまで買い出しに出向いてくれたギズーへ向ける言葉ではない。だがこれには背景がある、昨夜四人で行ったポーカーの罰ゲームで一人負け続けたのがギズーだ。

「罰ゲームだろ? んじゃぁまた今夜勝負するか?」

 帽子を脱いで風を起こすアデルが笑顔で言った、それに対して木の上から笑い声が聞こえてくる。

「くたばれこの野郎……海上商業組合(ギルド)も落ち着いた様子だった、この間の大規模な衝突以降戦闘と言えるような戦闘は起きてないからな」

 悪態をついた後懐から煙草を取り出して口にくわえ火をつけた、煙を酸素と共に肺に送り込み二酸化炭素と共に吐き出す。白い煙が青空へと向かって上り、途中で拡散し消えた。両手をズボンのポケットに突っ込んで木漏れ日の中にある太陽を見上げる。