それは今から二十年ほど前に遡る。
当時天才と呼ばれる三人の少年がいた、一人は齢十歳で剣帝の称号を取得し天性の才能ですべてのエレメントを操る少年、一人は同じく十歳で身の丈以上の巨大な斧を操る少年、一人は銀髪で槍を使わせたら右に出るものは居ないとまで言われた魔槍兵の少年。彼らは共に親を亡くし孤児院で育ったいわば兄弟のような存在である。幼くして自身の才能に目覚めた彼らは孤児院の為に様々な仕事を請け負っていた。凶暴な動物の駆除や旅の警護等々危険な依頼を請け負う少年傭兵団だった。その傭兵団は「アルファセウス」と呼ばれていた。
当時アルファセウスは帝国でも一目を置く存在であり、脅威としても見られていた。報酬次第では何でも請け負う事でその道では有名な集団だったからだ。そんな彼らの名前を世界的に広めた事件がある。四竜の討伐であった。中央大陸の北部に一匹、南部に一匹、東大陸と西大陸にもそれぞれ一匹ずつその土地を治める主がいた。彼らアルファセウスはその四竜討伐の依頼を高額で請け負い、見事三匹の竜を討伐することに成功する。残りの一匹、中央大陸南部の竜だけは仕留めることが出来ず、海底深くへと封印する事になった。その立役者が彼らのリーダー「カルナック・コンチェルト」である。
その功績から十歳という年であるにもかかわらず剣聖の称号を手に入れた、他の三にも同格の称号が与えられ一躍有名となる。それを帝国は良く思っていなかった。そこで当時の皇帝はアルファセウスを帝国内部へと取り込む事を決定し勧誘を始めた。彼らは最初断っていたが加入に際しての報酬金が今までの依頼で受けた金額の総額を遥かに超えていた為孤児院の活動資金に充てるべく加入を決意する。