「以前アデルには教えた五連続抜刀は覚えていますね? それの続きとなる六発目の抜刀術です。炎帝剣聖結界(ヴォルカニックインストール)を前提とした技となりますので使える機会はほんの一握り、それも一瞬です。それを逃がしてしまえば放つことは今のアデルには困難でしょう」
「アレの続きがあるのかよ、五連続だって過去一回しか成功したことないのに無茶言うなよおやっさん」

 アデルが絶望にも似た野次を飛ばした、だがカルナックは相変わらず笑顔のままだった。首を捻ってアデルを見た。

「大丈夫ですよアデル、今のあなたなら五連続まではきっと簡単に出来ます。それだけ成長しているのですから自信を持ちなさい」

 そう言って再び前を向く、その瞬間辺りに緊張が走った。ズッシリと重い空気が辺り一面に張り巡らされているのが分かる。後ろの二人は同時に唾をのむ。ゆっくりとカルナックが左手に構える刀を少しだけ後ろに下げて姿勢を低くとった。

「一つ」

 始まった、カルナック流抜刀術の神髄ともいえる神速六連撃。右手で刀を鞘から引き抜くと左斜め下から右上へと大木に一本の切れ目が入る。

「二つ」

 瞬時に納刀するとすかさず二撃目が走る。今度は縦と横にそれぞれ二本の切れ目が走る。だが普通に二発の斬撃を撃ったわけではない、横に一閃入れた後一度納刀しているのだ。抜刀するときの速度を利用した高速の連続攻撃。そう、二撃目からは斬撃が一本ずつ増える。その調子でまた納刀する。

「三つ」

 此処から並の人間では放てない領域へと進む、一秒の間に三回抜刀を行い三回納刀を行う。まさに神速という名にふさわしい速度だった。レイはそれに目が追い付ていない。アデルはまだその速度を追うことが出来る。大木が人間であればこの三発目は膝下を切り落とし、右下から左上に刀がすり抜け、最後の一撃で首を跳ねる。だがまだ止まらない。

「四つ」