「あぁ、この先何があるか分からない。イゴールの力は戦っている俺が良く分かってるがとても強大だ、それを悪用されたりしたら困る。言わばイゴールの力は今の俺達にとって切り札に近いんだ、まだ小さなFOS軍だけどこれから力をつけて大きくなっていけばいずれは帝国が黙っていない。スパイなんて送り込まれた日にはたまったもんじゃないだろ? だからこれは俺達だけの秘密にしておくんだ、保険は掛けておいて損はないと思う」
「アデル君の言うとおりです、この情報はなるべく知らせない方がいいでしょう」

 アデルの提案はイゴールの賛成によって成立した、いざという時の事を考えての発言ではあったがレイは驚いていた。そこまで考えていてくれたアデルに内心びっくりしている。普段おおざっぱでぶっきらぼうな彼からそんな言葉が出てくるとは思っても居なかったからだ。

「で、どうすればお前を表に立たせられる?」

 話がまとまった処でアデルが次へと進む、腰に刺していた剣を引き抜いて地面に突き立てる。その剣の柄の部分に腰を掛けた。

「まずは私とアデル君のエーテルを同期させます、次に僅かですが私の一部をアデル君の体に移しておくのです。後は私のエーテルにアデル君のエーテルを反応させてもらえればそれを起爆剤に表に出てこれると思います」
「俺のエーテルとイゴールのエーテルを反応させる……俺にそんな芸当が出来るかな」

 アデルは苦笑いした、現在の彼にそこまでのエーテルコントロールがあるとは自分自身でも思えなかったからである。それを見た炎帝が笑い出した。

「確かにそうじゃのぉ、今の貴様じゃそんな芸当できぬのぉ」
「うるせぇよジジイ!」
「何じゃとこのクソガキ!」

 二人は突如として言い合いを始めてしまった、同じような性格だなとレイとイゴールが二人そろって呆れている。