「イゴール、お前ともう一度出会うことはないだろう。だけど、お前から託された願い。確かに受け取ったよ」

 その言葉を聞いて厄災は安堵した。あぁ、これで私は報われるのだろうという気持ちが厄災の中を駆け巡る、とても清々しい気持ちに満ちていた。だがアデルはまだ悩んでいる、確かに危険な存在であることは間違いないイゴールを本当に消し去っていいのだろうか。あの無念を自分たちが引き受けるとしてもそれで本当に良いのだろうかと、自問自答を続ける。だがここで迷っていては覚悟を決めたイゴールに申し訳が立たない。今一度こぶしを握りなおすと二本の剣を右に構える。

「あばよ、イゴール――」