叫んだ、同時に構えていた霊剣を横に薙ぎ払う。その剣筋から一斉に風が吹き出し入り込んできた帝国兵士たちを壁に叩きつけた。同時にレイはその風に飛ばされ二人の後を追うように窓の外へと飛ばされる。

「逃げたぞぉ!」

 廊下に居た将校だろうか、吹き飛ばされずにいた兵士が一人そう叫んだ。レイは吹き飛ばされながらも確かに部屋の中を確認する。そして右手と左腕を十字に組み

「捕まえてみろ!」

 そう叫びながら落ちていった。

 先に窓の外へと飛んだガゼルの眼下には落下するアデルと無数の帝国兵士を捕らえた。すぐさま左手の手の平に重力波を作りアデルめがけてソレを投げた。

「起きろ寝坊助野郎!」

 重力球がアデルにぶつかると落下速度を速めて地面へと落ちていく。急な加速にもアデルは不思議と目を覚ますことはなかったが、地面に叩きつけられた衝撃でやっと目を覚ます。アデルが落下した場所は小規模のクレーターとなって周辺にいた帝国兵を吹き飛ばした。

「いってぇぇ!」

 激突した衝撃で目を覚ましたアデルは頭を押さえながらゆっくりと上体を起こす。そこには帝国兵士たちがショットパーソルを構えてこちらに銃口を向けていた。

「一体何がどうなってんだ」

 キョロキョロとあたりを見回しながら状況を確認する、そこに勢いよくガズルが着地する。続いてレイもアデルの隣に着地した。

「どういうことか説明しろよ二人とも」

 ゆっくりと埃をはたきながら立ち上がる。ガズルから二本の剣を受け取り腰に備え付けた。

「説明しろと言われても、見ての通り包囲されてるんだよ?」
「お前が寝てる間にこうなった、起きないから窓から投げ捨てて地面に叩きつけた」

 三人が会話している間にもジリジリと間を詰めてくる帝国兵達、三人は眉一つ動かさずゆっくりと詰め寄ってくる帝国兵士達を睨み各々戦闘態勢へと移行する。

「君達が、噂の少年か」

 兵士達の後ろのほうから声が聞こえた、三人はその声がした処へゆっくりと顔を向ける。すると中央にいた兵士たちは横に動き一本の道ができる。

「誰だあんた」

 アデルが睨みながら鞘から剣を引き抜く、開かれた道の奥から一人の男が姿を現した。赤いエルメア(軍服の事、アデルが来ているものと同じ)を纏うスラっとした男だった。

「帝国軍、特殊任務部隊中隊長『レイヴン・イフリート』、階級は中尉だ。君達を帝国反逆罪で逮捕する」

 淡々と話す、腰にぶら下げている剣は一般兵士達とは違い階級の高さを語っていた。

「もし、抵抗したら?」

 レイが口を開く、その両手には霊剣が握られている。いつでも切り掛かれるようにグリップを握りなおし肩の力を抜いた。アデルとガズルも同じく臨戦態勢をとる。

「その時は、わかっていますよね?」

 ニッコリと笑った、その笑みからは殺気が込められている。その気配に三人は一瞬で背筋が凍る。