『この星で、最後の愛を語る。』~The Phantom World War~

 そんな彼等にも集落以外の人の手が及ぶ、人々による魔族残党狩りである。独立国家と帝国との戦争は決着がつかず何十年と長引いている。休戦はあれど停戦などなかった。そして独立国家が目を付けたのが原住民である魔族達である。
 魔族の強大なエーテルを求めこの大陸全土を探し回っていた。あの集落も見つかるまで時間の問題ではあった。独立国家は魔族と魔人を一度拠点へと集めた後戦場へと向かわせる、子供は貿易都市にて奴隷として酷使され動かなくなれば簡単に捨てていた。

 彼もまた、そんな子供の一人である。
 人と魔族との間に生まれた魔人の子、労働で酷使し使えなくなれば捨てられる。そんな景色を毎日のように見てきた。次々と倒れていく友達、次は自分の番かもしれない。そんなことを考えると夜も眠れなかった。彼にもやがて時はやってきた。不治の病に掛かった彼等は貿易都市から離れた郊外の犬小屋に集められると、一斉に火をつけられた。

 熱い、熱い。同じ病に掛かった魔人の子達は灼熱の炎に焼かれ次々と絶命していく、それを一人の少年は怯えながら見ている。

「僕達が一体……何をした!」

 少年は叫んだ。仲間たちが次々と死んでいくその光景の中で人間を恨んだ。あれほど仲の良かった人間全てを恨んだ、ついには少年の衣服にも火が付き体全体を焼く。耐え難い苦痛だろう、肌を焼かれ眼球は蒸発し血液が沸騰する。まさにこの世の地獄。少年は叫び続けた、人間を呪う言葉を叫び続けた。それが起爆剤となる。
 少年の体から膨大なエーテルが暴走し、大爆発を引き起こした。