ギズーが壁により掛かってカルナックを睨む。同じようにガズルも睨んでいた。

「嬉しいって訳じゃ無いですよ、ただ……彼には悪いですがその化け物の様な相手に喧嘩を売る皆さんは本当に若いなって思っただけです。私ならお断りですね」
「ちぇ、本当にそれが本心かどうかも怪しいな。大体剣聖あんたは――」

 そこでガズルの言葉が止まった、同時にカルナックの動きも止まる。二人は咄嗟にレイとアデルが居る部屋に顔を向ける。

「ん? どうしたんだ二人とも」
「ギズー、お前分からないのか? エーテルが殆ど無い俺にだって感知できるんだぞ」
「だから何を言ってやがる――」

 何一つ感じられないギズーもガズルの表情を見て悟った、瞬時に自分の獲物を両手に構え部屋を凝視する。

「剣聖、何が起きてる?」

 ギズーとガズルの顔は汗だくだった、両腕は鳥肌で逆立ち本能がその場から逃げろと騒いでいた。だが恐怖のあまり動く事が許されない。

「どちらかがエーテルバーストしたようです。アリス隠れて居なさい」

 その言葉に一つ頷くとアリスはキッチンの下に有る収納庫へと身を隠す。カルナックは立ち上がると左に添えていた刀を鞘から引き抜く。

「レイ君がバーストするとは考えられません、アデル君の確立が高いでしょうね」
「簡単に言ってくれるな剣聖、炎のインストールを身にまとったアデルとかもはや化け物クラスじゃないか!」
「だから覚悟を決めてくださいと言ったでしょう」

 ゆっくりとだが確かに違和感が部屋のドアへと近づきつつある、三人はゆっくりと戦闘準備を作り各々の武器を構える。

「来ます!」

 カルナックの叫びと同時に部屋のドアが吹き飛び、中から尋常では無いエーテルの量が外へと溢れて来る。同時にとても嫌な気配と共にそれは現れた。