青春と言う文字を辞書で引いて見ると二十五歳までだと言う。
 はてさて、青春当時を見て何時を思い出すのかそれは人それぞれだと思う。僕もそうだ。
 高校時代に仲間と一緒に騒いだあの時を青春と呼ぶのだろうか、それとも今仲間と一緒に時に酒を飲み、時にドライブに出かける事を青春と言うのだろうか。
 それは感じ方の違いで確定されるものでは無いと思う。



「おいおい、もう五本目だぞ?」
「ん……あぁ」

 知人が部屋に遊びに来ていた、昔から仲がよく学生時代からよく二人で遊んでいた。僕はこいつに青春と言う字を時々重ねる事がある。
 春夏秋冬。どの季節もこいつが居て、一緒に笑って、一緒に楽しんでいる仲間の一人だった。
 タバコの煙が苦手で、僕がタバコに手を伸ばすと必ず窓を開けようとする。もちろんエアコンが掛かっていてもお構い無しだった。

「本当に良く吸うよな」
「まぁ……そうだな」

 外はすっかり秋空になっていた、九月も半ばに差し掛かりゆっくりと日が落ちて行く時間も速くなってきたこの季節、互いに仕事で忙しい中の休日にこうして一緒に遊ぶのが唯一の楽しみになっていたのも事実。
 そして一本吸い終わると立て続けにもう一本吸いはじめる。

「もうその辺にして置けよ、そろそろ部屋の中が真っ白になるぞ」
「窓を開ければいいだろ、どうせ暑くも寒くも無いこの季節なんだし」
「そうだけどさぁ」

 いくらなんでも吸いすぎと言う事なのだろう、どうしてもタバコを止めさせようにライターを取られた。
 一つため息をついて枕の後ろに隠してあるライターに手を伸ばした。

「あ、きったねぇぞ皐月」
「気づかなかったお前が悪い、もっと修行するべし」

 そんなバカ話をしてタバコに火をつける。そしてまた何事も無かったように煙を吐き出した。
そうこうする内に携帯電話が鳴りだす、ディスプレイを見るとそこにはちょっと懐かしい名前が出ていた。

「もしもし?」
『あ、皐月? 久し振り、今暇?』
「あぁ、珍しいなお前が俺に電話するなんて」
『まぁね、今から遊びに行っていい?』
「あぁ、桶もいるよ。お土産は――」

 そんな話をして携帯電話の通話終了ボタンを押す。

「誰から?」
「ぷるこぎ、今から来るってさ」