休日、部屋の掃除をして居る時に目に入った一本のゲームソフト。
 ホームページを作るきっかけになった一つのゲームソフト、仲間との想い出が沢山詰まっているディスクを手に掃除を一時中断して空気を入れ替えるために窓を少しだけ開けた。

「懐かしいな」

 咥えていたタバコを左手で取り木製の椅子に腰掛ける。タイトルが書かれているディスクの裏を見ると当時遊んで居た頃の傷があった。

「入れ込んだなぁ、よく遊んだもんだ」

 ふと当りを見渡してゲーム機本体を探す、周りに無かったので押入れの扉に手をかけた。スライド式の木製のドアを開けると本体が埃をかぶって雑に置かれていた。

「すげ……これ動くのかな」

 掃除に使っている雑巾で埃を拭い取ると真っ黒な色が綺麗に残っていた。高校時代に親父に買ってもらったこのゲーム機、仲間とRPGや格闘ゲーム、パズルにシューティングゲーム。いろんなゲームで遊んだこの機械はもう二年程弄って居ない。それゆえに懐かしかった。

「えーっと、ケーブルはっと」

 コンセントにさしこむケーブルはすぐ側に置かれていた、これもまた乱雑に扱われている。当時の僕は何を考えてこんな仕舞い方をしたのだろうか。

「後はテレビにつないでっと」

 このテレビも相当昔から有る、一番古い記憶だと中学校一年生の頃まで遡る。もういい加減買い替え時期になるだろうか。今年で十一年目。

「お、動いた」

 見慣れた文字がテレビに映る、ウィンウィンと音を起ててゲーム機がディスクを苦しそうに読み込む。それもそうだろう。埃をかぶって放置された挙句ディスクはそこそこ傷ついている。苦無く読み込む方が怖いほどだった。

「うわぁ、懐かしいな。操作方法どうだっけか」

取り扱い説明書を読もうとして、直ぐに止めた。昔から説明書は読まずにとりあえず感覚で操作して覚える、それが僕のやりかただった。どんなゲームでもそうだった。
 今では先に説明書を読んでから手を付ける、つまらない大人になったもんだとタバコを吸う。
 起動したゲームはRPGだった、どうやら最後の敵の前でセーブされている。画面を見てようやく操作を思い出し、メニュー画面を開く。

「なんだこれ、レベルもう上がらないじゃん」

 極限までプレイされた形跡があった、プレイ時間は既にカウントされずレベルも上限、装備も充実していてレア装備まで持っていた。

「こんなことばっかりしてたから成績悪かったんだな俺」