『ねえ、元気?』
気付けばメールを開いて、無意識に颯にそう送ろうとしていた。
もしかしたら颯は後悔するかもって思ってたんだけど、どうなのかな。きっとそうだ、自分で言うのもなんだけど。
だって、颯のことをずっと一番近くで見てきたんだし。いつも、ホントに大事なことは言ってくれない。
けど、誰よりも誠実で、こんな終わり方を好む人じゃない。悪いところも、知ってるし、それ以上にいいところも知ってる。
でも…もう好きなんて想いだけじゃ、だめなんだ。颯はきっと、もう私のことなんて、好きじゃないから―—。
この結果は多分、颯が精一杯自分と向き合って出した結果なんだ。だから、私も自分と向き合わないと。今の私に必要なのは、自分と向き合う時間だ。だから、ごめん、ありがとう。ばいばい。
幸せな思い出を大事にしまって、お互い別々に道に進もう。
私は最後の荷造りの段ボールに、君の笑顔の写真が入った額縁をしまった。
この思い出の詰まった家とも、君ともさよならだ―—。