夢、を見た。颯との幸せな「思い出」。それはもう現実には存在しない。
大学から帰ってきた後、今までのメールの履歴を見ていたらいつの間にか寝落ちしたらしい。
色んな光景が脳の奥を映画のエンドロールみたいに、流れていた。付き合う前の甘酸っぱい日々も、初めてのデートに行った日の事も、二人で引っ越した日のことも、颯の誕生日の日の事も。そして最後に映ったのはやっぱり君の笑顔だった。
……ダメだ。このままじゃ。いい加減忘れないと。
私はメールの履歴の画面を閉じて、パーカーのポケットにスマホをしまった。
繋いだ日々とも、お別れしないと。あの涙も君を忘れるためだったんだから。まぁ、忘れられなかったけど。
いつまでも想って仕方がない。だって君とはもう会えないから。辛いのは颯だけじゃないから。もう涙を流すのは終わりだ。
……ありがとう。ばいばい。私はまた一筋涙を流した。きっと、これで最後だ―—。