「久しぶり、颯。元気にしてた?」
颯と最後に会ったあの日からもう二年が経った。私は大学を卒業して、今、小学校じゃないけど、中学校で教師をしている。
お墓に供花を手向け、静かに手を合わせた。
「颯の約束通りっていうか、別に恋愛じゃないけど、生徒たちには一人一人ちゃんと向き合ってあげられるようにしてるよ。少しずつだけど、私も前に進んでるから。だから、ちゃんと見ててよ?」
私は上を向いて空の青さに目を細める。そして、手をかざした。
颯、この手で明日を掴んで、繋いだ日々に終わりを始めるから。少しずつ大人になるから。
だからもう―—安心してよ。約束、守るよ。
春を告げる風が舞った。一瞬だけ見えたような、颯の背中が、頑張れって言ってるような気がした。
私はしっかり前を向いて、また一歩、歩き出した。