翌日、俺は太陽の光で目を覚ました。
「んっ」
そのまま階段を降りてリビングへと向かう。
ドアを開けようとすると……まさか昨日みたいなことはないよな?
ガチャ
「ふー」
今日は何も起こらなかったのでひとまず安心する。
ドアを開けると、
「おはよう」
おばあちゃんが朝ごはんを用意して椅子に座ってテレビを見ていた。
「うん。おはよう」
「おじいちゃんは?」
「あー、あの人なら街の集まりで朝早くから出ていったんだよ」
「そうなんだ」
俺は席に座りおばあちゃんの作ってくれた朝ごはんを食べる。
すると、
ガチャ
振り返るとそこには凛津がいた。
昨日着ていたシンプルなシャツとは打って変わってとても華やかな花柄のワンピースだった。
「おはよう」
「……」
無視された。
「おばあちゃん。おはよう」
「凛津ちゃん、おはよう」
なんでこんなに俺嫌われてんだろうか?昨日は少しだけ仲良くなれたと思ったんだけどな。
てかなんで凛津が俺のおばあちゃんの家にいるんだ?
今聞いたらまた凛津になんか言われそうだし、後でおばあちゃんに凛津のいないところで聞いてみよう
そんなことを思いながら俺は黙々とご飯を食べた。
ちなみに今日の朝ご飯は、アジフライ、あおさの味噌汁、タコの酢物、炊き立ての白米だった。
やっぱりおばあちゃんの作る飯はうまい。
「ご馳走様。美味しかった」
「お粗末様です」
俺は朝ごはんも食べたのでリビングを後にする。
凛津は食事中もムスッとしたままだった。
ひとまず部屋に戻って服を着替えた後、昨日は行くことの出来なかった山奥の方まで行ってみることにする。
滝島にはいくつかの山があるけれど俺が今から行く山はこの島では1番大きい山だ。
そうはいっても島自体がそこまで、でかいわけでもないので、小学生でも頑張れば登れる程度の山だ。
「行ってきまーす」
外に出るとムワッとする感じの嫌な熱気が押し寄せてくる。
「暑っついな〜」
「なに一人で呟いてんの?」
「凛津!? なに? また付いてくんの?」
「ちっ、違うっ! 今日は本当に用事あるし! って、昨日は優太について行ったんじゃないって言ってるじゃん!!」
「……」
なんか凛津は顔を真っ赤にしている。また怒らせてしまったらしい。
まあ、とりあえず今日は付いてこないらしいので良かった。
昨日は凛津がずっと付いてきてたからなんかリラックス出来なかったんだよな〜。
俺は玄関の前で凛津と別れて山のある方まで歩いて行く。
田んぼ、畑、田んぼ、畑、たまにお店。
そんな光景が続く道を30分位歩いたところに山の入り口がある。
ここから山頂までは20分位登らなければならないのでなかなかハード……だと思う。俺最近運動不足だし。
昔は良く凛津や有里姉ちゃんと一緒に登ったっけな〜。
少し昔のことのことを思い出しながら山を登っていく。
「はぁーっ、はぁーっ」
登り始めて10分が経つ頃には既に俺の息は上がっていた。
想像以上にキツい。
ただだでさえ、キツイのにこの暑さは反則だろ。
「一旦休憩しよう」
近くにあった大きめの石に腰をかける。
「ふーっ」
それからどのくらい時間が経っただろうか。
疲れていたのでボーっとして辺りを見ていたら、人影が……。
「えっ?」
「だっ、だれかいるんですか?」
ガサッ、ガサッ
俺は、恐る恐る人影のある方へと近づいて声をかけてみる。
「あっ、あの〜〜」
ガサッ、ガサッ、ガサッ、
「うわっ!!」
「うわっ!!」
山奥の中で2人の声が綺麗にハモった。
声のした方を見ると、すごい美少女?いや美女?がいた。
髪は肩の下くらいまであって、綺麗に手入れされている。
凛津の可愛さを例えると『アイドル』という感じだが、この女の人は『清純派の女優』という感じだ。
「えっと、だいじょ……」
俺が声をかけようとした時、その人は俺の顔をみてからハッとした様子で、
「優……くん?」
「えっ?」
なんで俺のこと知ってるんだ?
こんな可愛い娘、俺の知り合いにいたっけ? てか、今俺のこと優くんって……。
「わぁ〜〜っ!! やっぱり優くんだよね〜!!」
「私! 私だよ〜!! 有里香!!」
「ゆ、有里姉ちゃん?!」
確かに言われてみれば、喋り方とか雰囲気も有里姉ちゃんそのものだ。
だけど……その、なんていうかこんなに胸デカかったっけ?
「むー。優くんどこ見てるの!! 久しぶりに会ったのにそんな所ばかり見られたらお姉さん恥ずかしいよ!!」
有里姉ちゃんは顔をほんの少し赤くしながらも、どことなく嬉しそうに見えた気がした。
「ごっ、ごめん。そんなつもりじゃ」
「あははっ! 分かってるよ〜! 優君も男の子だし仕方ないよね!」
「……」
返す言葉がない。
俺が何か言わねばと口籠もっていると
「ところで優くんはどうしてここに?」
有里姉ちゃんが話題を変えてくれて助かった。
「あ〜。散歩で昨日は来れなかったところまで久しぶりに行こうと思って……。ここでは有里姉ちゃんと凛津との思い出も沢山あったし……」
「そっ、そうなんだ! 実は私もここに来るの久しぶりなんだ!」
「へ〜。そうなんだ」
どうやら有里姉ちゃんも凛津も俺も、帰省でちょうどタイミングが重なったらしい。
「優くんも山頂まで登るんだよね?」
「そのつもり……だけど」
「よし!! じゃあ山頂までどっが先に登れるか勝負しようよ!!」
「えっ? そんなっ、急にって!!」
「よーし。スタートっ!!」
有里姉ちゃんは既に走り出していた。
「ちょっ! まって!!」
俺は少し先を走る有里姉ちゃんを追いかけるようにして、まるで8年前のように、山頂まで駆け登っていくのだった。
「んっ」
そのまま階段を降りてリビングへと向かう。
ドアを開けようとすると……まさか昨日みたいなことはないよな?
ガチャ
「ふー」
今日は何も起こらなかったのでひとまず安心する。
ドアを開けると、
「おはよう」
おばあちゃんが朝ごはんを用意して椅子に座ってテレビを見ていた。
「うん。おはよう」
「おじいちゃんは?」
「あー、あの人なら街の集まりで朝早くから出ていったんだよ」
「そうなんだ」
俺は席に座りおばあちゃんの作ってくれた朝ごはんを食べる。
すると、
ガチャ
振り返るとそこには凛津がいた。
昨日着ていたシンプルなシャツとは打って変わってとても華やかな花柄のワンピースだった。
「おはよう」
「……」
無視された。
「おばあちゃん。おはよう」
「凛津ちゃん、おはよう」
なんでこんなに俺嫌われてんだろうか?昨日は少しだけ仲良くなれたと思ったんだけどな。
てかなんで凛津が俺のおばあちゃんの家にいるんだ?
今聞いたらまた凛津になんか言われそうだし、後でおばあちゃんに凛津のいないところで聞いてみよう
そんなことを思いながら俺は黙々とご飯を食べた。
ちなみに今日の朝ご飯は、アジフライ、あおさの味噌汁、タコの酢物、炊き立ての白米だった。
やっぱりおばあちゃんの作る飯はうまい。
「ご馳走様。美味しかった」
「お粗末様です」
俺は朝ごはんも食べたのでリビングを後にする。
凛津は食事中もムスッとしたままだった。
ひとまず部屋に戻って服を着替えた後、昨日は行くことの出来なかった山奥の方まで行ってみることにする。
滝島にはいくつかの山があるけれど俺が今から行く山はこの島では1番大きい山だ。
そうはいっても島自体がそこまで、でかいわけでもないので、小学生でも頑張れば登れる程度の山だ。
「行ってきまーす」
外に出るとムワッとする感じの嫌な熱気が押し寄せてくる。
「暑っついな〜」
「なに一人で呟いてんの?」
「凛津!? なに? また付いてくんの?」
「ちっ、違うっ! 今日は本当に用事あるし! って、昨日は優太について行ったんじゃないって言ってるじゃん!!」
「……」
なんか凛津は顔を真っ赤にしている。また怒らせてしまったらしい。
まあ、とりあえず今日は付いてこないらしいので良かった。
昨日は凛津がずっと付いてきてたからなんかリラックス出来なかったんだよな〜。
俺は玄関の前で凛津と別れて山のある方まで歩いて行く。
田んぼ、畑、田んぼ、畑、たまにお店。
そんな光景が続く道を30分位歩いたところに山の入り口がある。
ここから山頂までは20分位登らなければならないのでなかなかハード……だと思う。俺最近運動不足だし。
昔は良く凛津や有里姉ちゃんと一緒に登ったっけな〜。
少し昔のことのことを思い出しながら山を登っていく。
「はぁーっ、はぁーっ」
登り始めて10分が経つ頃には既に俺の息は上がっていた。
想像以上にキツい。
ただだでさえ、キツイのにこの暑さは反則だろ。
「一旦休憩しよう」
近くにあった大きめの石に腰をかける。
「ふーっ」
それからどのくらい時間が経っただろうか。
疲れていたのでボーっとして辺りを見ていたら、人影が……。
「えっ?」
「だっ、だれかいるんですか?」
ガサッ、ガサッ
俺は、恐る恐る人影のある方へと近づいて声をかけてみる。
「あっ、あの〜〜」
ガサッ、ガサッ、ガサッ、
「うわっ!!」
「うわっ!!」
山奥の中で2人の声が綺麗にハモった。
声のした方を見ると、すごい美少女?いや美女?がいた。
髪は肩の下くらいまであって、綺麗に手入れされている。
凛津の可愛さを例えると『アイドル』という感じだが、この女の人は『清純派の女優』という感じだ。
「えっと、だいじょ……」
俺が声をかけようとした時、その人は俺の顔をみてからハッとした様子で、
「優……くん?」
「えっ?」
なんで俺のこと知ってるんだ?
こんな可愛い娘、俺の知り合いにいたっけ? てか、今俺のこと優くんって……。
「わぁ〜〜っ!! やっぱり優くんだよね〜!!」
「私! 私だよ〜!! 有里香!!」
「ゆ、有里姉ちゃん?!」
確かに言われてみれば、喋り方とか雰囲気も有里姉ちゃんそのものだ。
だけど……その、なんていうかこんなに胸デカかったっけ?
「むー。優くんどこ見てるの!! 久しぶりに会ったのにそんな所ばかり見られたらお姉さん恥ずかしいよ!!」
有里姉ちゃんは顔をほんの少し赤くしながらも、どことなく嬉しそうに見えた気がした。
「ごっ、ごめん。そんなつもりじゃ」
「あははっ! 分かってるよ〜! 優君も男の子だし仕方ないよね!」
「……」
返す言葉がない。
俺が何か言わねばと口籠もっていると
「ところで優くんはどうしてここに?」
有里姉ちゃんが話題を変えてくれて助かった。
「あ〜。散歩で昨日は来れなかったところまで久しぶりに行こうと思って……。ここでは有里姉ちゃんと凛津との思い出も沢山あったし……」
「そっ、そうなんだ! 実は私もここに来るの久しぶりなんだ!」
「へ〜。そうなんだ」
どうやら有里姉ちゃんも凛津も俺も、帰省でちょうどタイミングが重なったらしい。
「優くんも山頂まで登るんだよね?」
「そのつもり……だけど」
「よし!! じゃあ山頂までどっが先に登れるか勝負しようよ!!」
「えっ? そんなっ、急にって!!」
「よーし。スタートっ!!」
有里姉ちゃんは既に走り出していた。
「ちょっ! まって!!」
俺は少し先を走る有里姉ちゃんを追いかけるようにして、まるで8年前のように、山頂まで駆け登っていくのだった。