皇帝陛下直々に謝辞を口にされ面食らう。


しかし、表情だけでなく言葉からも一切人間らしい温かみを感じることができず、まるで人形が話しているようで心に響いてこなかった。


「此度の一件、そなたは全く関係のことは分かっていた。

だがそれよりも重要なことを、そなたは隠している」


 皇帝陛下暗殺未遂事件よりも重要なこと?


 切羽詰まった真剣な眼差しは、怖いほどだった。


「私は、何も隠してなどおりません」


「いや、隠しておる。ではなぜあの時、犯人が分かったのだ?」


「それは……」


 まだ疑いは晴れていなかった。


もしかしたら私が首謀者と勘違いをなされているのかもしれない。


言葉を告げずにいると……。


「心の声が、聴こえるからであろう?」


 皇帝陛下の予想外の言葉に、身体から血の気がさっと引いた。