人生初めての徹夜は一切眠くならなかった。
全くわからなかった。これからどこに行くか、母は無事に帰ってくるのか、他の生徒は大丈夫なのか。自分は生きているのか。
2
奇跡的に流れなかった高校の体育館に生徒全員避難した。そこでは泣いている生徒や呆然としている生徒など様々だ。その中に母さんの姿はなかった。だが母さんがいない日はいつもなので心配はしていなかった。
「あ、昴君(←いつの間にかとても親しくなっていた)よかった無事で」
「あ、聡。楽器、流されてなかった?」
「今音楽室行ってきたけど、破片もなかった。あのチェロ小学校から寄付してもらったすごく大切な物なのに」
「しょうがないよ。街を飲み込むほどの津波だったから。」
「なんで昴君そんなに落ち込まないの?普通めちゃくちゃ落ち込む、、いや心配するでしょお母さんとか」
「まあいないのが当たり前だから。そのうち帰ってくるさ」
聡と話していると何だか安心してしまう。しかしこの震災によって何人もが犠牲になっていることは事実だ。
〔すいません。県警です。あなたが甲斐 昴さんですか?少しお話があるのですがよろしいでしょうか〕
「あ、はい。ごめんちょっと行ってくる」
そこまで重大なことではないだろうと思っていた。
〔大変申し上げにくいのですが、少し確認していただきたいことがあります〕
ブルーシートが上げられる。そこには目を瞑った母さんが横になっていた。
その時本当の死とは何かを完全に理解した。嫌なくらいに。
「え、、母です。これはどこで見つかったのですか?」 驚くほど棒読みだった。
〔病院の瓦礫の下から見つかりました。〕
「そうですか。ありがとうございます。もう結構です。」
〔ご冥福をお祈りいたします〕そう警官は落ち着いた口調で言った。
「昴君、どしたの?」
「母さんが死んだって。遺体見てきた。ごめん先生に具合悪いのでもう寝ますって伝えといて」
聡は完全に青褪めていた。だけどその十五倍くらいおれは青褪めてたと思う。
簡易用ベットに思いっきり倒れ込む。頭が真っ白で何を考えたらいいのか全く分からなかった。
*
目を開けるとそこには果てしなく続く真っ白な世界。そして見える程度の近さにいる母さん。
全くわからなかった。これからどこに行くか、母は無事に帰ってくるのか、他の生徒は大丈夫なのか。自分は生きているのか。
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奇跡的に流れなかった高校の体育館に生徒全員避難した。そこでは泣いている生徒や呆然としている生徒など様々だ。その中に母さんの姿はなかった。だが母さんがいない日はいつもなので心配はしていなかった。
「あ、昴君(←いつの間にかとても親しくなっていた)よかった無事で」
「あ、聡。楽器、流されてなかった?」
「今音楽室行ってきたけど、破片もなかった。あのチェロ小学校から寄付してもらったすごく大切な物なのに」
「しょうがないよ。街を飲み込むほどの津波だったから。」
「なんで昴君そんなに落ち込まないの?普通めちゃくちゃ落ち込む、、いや心配するでしょお母さんとか」
「まあいないのが当たり前だから。そのうち帰ってくるさ」
聡と話していると何だか安心してしまう。しかしこの震災によって何人もが犠牲になっていることは事実だ。
〔すいません。県警です。あなたが甲斐 昴さんですか?少しお話があるのですがよろしいでしょうか〕
「あ、はい。ごめんちょっと行ってくる」
そこまで重大なことではないだろうと思っていた。
〔大変申し上げにくいのですが、少し確認していただきたいことがあります〕
ブルーシートが上げられる。そこには目を瞑った母さんが横になっていた。
その時本当の死とは何かを完全に理解した。嫌なくらいに。
「え、、母です。これはどこで見つかったのですか?」 驚くほど棒読みだった。
〔病院の瓦礫の下から見つかりました。〕
「そうですか。ありがとうございます。もう結構です。」
〔ご冥福をお祈りいたします〕そう警官は落ち着いた口調で言った。
「昴君、どしたの?」
「母さんが死んだって。遺体見てきた。ごめん先生に具合悪いのでもう寝ますって伝えといて」
聡は完全に青褪めていた。だけどその十五倍くらいおれは青褪めてたと思う。
簡易用ベットに思いっきり倒れ込む。頭が真っ白で何を考えたらいいのか全く分からなかった。
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目を開けるとそこには果てしなく続く真っ白な世界。そして見える程度の近さにいる母さん。