そう言って宮内と共に屋上に行き二人で話しながら弁当を食べた。
少し気づいたことがあった。宮内の弁当に入ってる卵焼きの巻き方が少し雑だったのだ。
「宮内君、もしかしてだけど弁当自分で作ってる?」
宮内にあった少しの笑みが一瞬にして消えた。察した俺は「うん、ははは、弁当美味しそうだね」と誤魔化した。
「親いないから。学校の近くのアパート借りて。料理、まあまあできるから」
親がいないという言葉を認識するのに数秒かかった。
「この際だから言うけど俺の父親に当たる人と縁切ってるんだよね。」
「そう?お母さんはどうしてんの?」
「母親はゴミの父親の代わりに朝夜ずっと働いてんの。だから最近は顔見てない」
「じゃあ基本、家では一人で勉強とかしてんの?」
「うん。料理は朝早く仕事に行く時弁当作ってくれる。そんなモーニングルーティーンを送ってるから睡魔耐性ついてんだよね」
「そうなんだ。僕将来的に大学受験しようか、就職するか迷ってんだよね。まああと2年弱あるから大丈夫だと思うけど。」
「僕たち共通点多いね。」
なんか友達みたいに接している自分を今更気づいた
       
          Chapter two 終わりの夏休み

この高校では普通の高校と違い夏休みは全員が補習を受ける。成績が良い生徒は上級クラス、伸び悩んでいる生徒は普通クラスに分けられた。勉強はかなり頑張っているので俺は上級クラスに行けた。しかしあれほど頭が良さそうな酒井は普通クラスだった。
『頑張れよ努力家。私普通クラスだからよく景色が見えて良いね〜』
こんな暑く地獄の中なんでこの人はテンションが高いのかとても不思議に思えた。いや不思議というよりも呆れた。
「もっとテンション下げた方がいいのでは?夏バテしますよ」サークルの先輩に話ているような感覚だった
『お気遣いありがとう。君は人に優しいね、一部の人を除いて。』
「そう?自分ではそう思わないけど」
そのまま酒井と何分か話した後教室がある西棟に向かった。西棟は北棟から歩いて3分ほどで着く場所にあった。2年前だと外を通って移動するしかなかったが最近になって連絡通路が開通し中から直接通れるようになった。
そして西棟と後もう少しというところで向こう側から見覚えのある人間が通ってきた。目を細めて見てみると薄ら顔が見えた。いつも自分をいじめてくるいわゆる陽キャ、藤原だ。