「なんでだよ。その虐めてるやつを先生とか、スクールカウンセラーとかに伝えればよかったじゃないか。そんなことで死のうとしたのか。」
『ほら、今君は【私は死ななくてもよかった。】そう思ったでしょ。それでいいの、これは君を見ている私も全く同じ気持ち。だから死ぬなんてことするのやめて・・・』
僕は心臓を握られたような感覚に襲われた。その通りだ。ちっぽけな同級生の言葉で死ぬ必要なんてないんだ。僕は心の底から嬉しかった。僕がこの世界から消えることを止めてくれる人がいたことが。気づいたら僕はその場で跪きながら泣いていた。
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ー目を開けたらいつも寝起きに見ている天井とは別の色になっていた。
[起きたか。昴、何があったんだ。教えてくれ]
見なくてもだいたい今の情景はわかった。何人か病人がいる病室、僕のベットの横にいるクズ化した父、入口にある刺激が強い消毒液。ここで寝るのは人生で3回目ぐらいだったのになぜわかったのか、自分でも不思議だった。
「なんでここにいるのですか?あなたとは2年前に縁を切ったはずですけど。永久決別命令も出したのだから僕に近づくと裁判所に連絡がいくの知っていますよね」
[母さんが急用でこられないから父さんが代わりに来たんだ]
「あなたに父とか母とか言う資格はない。今すぐ出て行ってください」
[お前、誰が今まで育ててきたと思ってる。いい加減にしろ!]
「今まで育ててくれたのは母です。あなたは僕や母さんを放ってどこかに行ってしまったんでしょ。今更親気取りにならないでください。この下等生物が!」
[もう二度と助けてやらないからな]
「はい?助けられた覚えなど一切ありません。早く出ていけ!」
                      *
また今日から下等生物どもと一緒に学校で学ばなきゃいけないと考えると死にたくなるな。
『あんなに止めたのにまたそんなこと考えるとは、やはり馬鹿だね』
「なんで酒井さんは毎回心を読んで話しかけてくるのですか。冗談ですよ。あれからあんなこと考えなくなりました。」
『冗談でも考えたらだめ。命を粗末にしたらぶち殺すからね』
「口悪っ。ぶち殺されたらどちらにしろ死んでしまいますよ」
『どうせ下等生物がどうだかとか考えてるでしょ。悩みすぎたらいつでも相談してね。3組にいるから。』