なんなんだこの人。ここに来たばかりなのにもう景色がどうのとか言えるの？
「転校してきたのですか。すいません僕は今からここから落ちようと思ってます。出来るだけ静かに死にたいので今すぐここから退いてくれませんか」
『君、甲斐君だっけ。冗談がきついね。せっかくの命捨てるとかただのバカ？ちゃんと学校行って、家に帰って、って平凡に過ごせばいいのに。』
「初対面の人に向かって馬鹿とは・・。アホみたいな下等動物がうじゃうじゃいる学校に行ってどうするんですか？家に帰っても相談する人間もいないし、もう居場所がないんだよ！」
徐々に声が荒くなっていく。
『あのね、人間が生まれるのは一生不倫がバレないぐらいの確率なんだよ。病気で生きたいのに生きれない人と比べてみなよ。それでもはたして死ねる？』
一生不倫がバレない？何なんのことだ？
「じゃあどうすりゃっていうんだよ！もう消えるぐらいしか手段がないんだよ！だいたい赤の他人の僕をなんでそんな止めるんだよ！」
『あなたに私と同じ道を歩いて欲しくないのよ。』
は？どう言うこと？意味不明なんだけど。
『多分今から言うことはあなたにとっては何を言ってるのか全くわからないと思うけど、信じてくれる？』
「まあ内容によっては・・・」
『私は一回死んでるの。あなたと同じくらいの歳に。』
何を言っているのか全くわからなかった。一回死んだことあるってことは転生したってこと？
聞きたいことは山ほどあったが数秒考えてこれだけにした。
「なんで死のうと思った？」
『私も君と同じでいじめられてたのよ。きっかけは私が男子に告白されて付き合うことになったこと。とうとうこの私にも彼氏ができたんだって喜んでた。でもそれが地獄の始まりだった。男子には【キモいお前なんかがよく付き合えたな】女子には【わたしたちより先に彼氏作るとか生意気なんですけど】そうやってクラスのみんなに責められ続けられたの』
「それで？」
『そこまではよかったの。一応想定内だったから。でも次の日学校に来た時、愕然としたわ。私の彼氏が私の机に無理矢理落書きされてたの、それも殴られながら。その光景を見た私は(あぁ私には生きる資格がないのかな)そう思ったの。だから私はベランダに行って短い人生に別れを告げた。』