酒井が俺に気づくと、『お、久しぶり〜元気にしてた？』と少し元気がないが2年ぶりくらいにあった幼馴染に声をかける口調で俺に言った。
「その言葉、そっくりそのままお返しします。これで貸しは返しましたからね」
『ん？なんのこと？』
「酒井さんの手術、俺が許可したんですよ。もし俺に出会ってなければ今頃瓦礫の下で死んでいましたよ」
『え、ウソーン。だけどあなたが自殺しようとしなければ会わなかったんだから歌詞を返したことにはならないんじゃない？』
「もう僕は『自殺』というワードを聞きたくないんですよ。お分かりいただけます？」
『知ったことかよバーカ』
「ばかっつたよコイツ」
『いや〜久しぶりの友と喋るのは楽しいな。』
「言っとくけど陽気なのはあなたぐらいしかいないんだよ。俺も二週間前なんて人と喋りたくないぐらい落ち込んでたんだから」
『じゃあ気をつけるか。』
「酒井ってそんなに人のこと優しくできないの」
『ちゃうちゃうお前が優しすぎるだけだ』
すっと背後から視線を感じる。その目の正体は藤原だった。特に気にせず酒井と話を続ける
しかしこの行為が俺を闇のどん底に陥れるとは気づかなかった。
「酒井って弦楽器の中で演奏できる楽器ある？」
『あぁ、バイオリンならできるよ。楽器流されたけど。』
（よし。）と思うと蒼い海と緑い海について細かく伝える。
『なるほど。誰こんな素晴らしい案考えたの？』
「俺の友達の宮内。正直こんなの俺でも思いつかないと思う」
『うん。バカには思いつかない。私でも思いつかないのならお前はもっと無理だ』王女気質の顔には一切合わない暴言に目がおかしくなったと思った。
「あのな〜。お前はもうちょっと丁寧な言葉を発しろ。」
『なんで？そうでもしないと美女の私に男子が寄り付くでしょ』
「うん。ナルシスト感ももうちょっと下げた方がいいと思う。」
『うるさいうるさい。これもわざとなんだから。』
命の恩人だということをすっかり忘れるほど呆れた。
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聡は震災のために体育館を仮の住まいとしてしている。そのため俺とほぼ近くに住んでいる。
「住まいが近いと打ち合わせしやすいね」
「まあね。昴くんはこんな狭い空間嫌なんじゃないの？」
「確かにね。仮設住宅に早く住みたいよ」
「その時はハウスシェアする？」