「あーおーっ!」
親友の潮崎空(しおさきそら)。一番私のことをわかっている。
「わっ!もう、びっくりするじゃーん!空!!」
「碧、今から寄ってくの?あそこ。」
放課後、私にはある場所に寄るルーティンがある。
「もちろん!」
『ある場所』とは、海の宝珠のある場所のこと。白貝(しらかい)海岸からずーっと泳いでいくと、小さな島がある。そこは、白宝(しらたから)島と呼ばれている。そこの島には海の宝珠と呼ばれる大きな真珠があり、私はその宝珠を守る家系にある。毎日夕方にその宝珠を見に行き、様子を確認するのが代々伝わる仕事だ。
「気をつけてね、碧!」
「りょーかいっ!ってわぁ!」
「いってぇなぁ…なんだよお前…って碧さん!?大丈夫すか??すみません、ぶつかっちゃって。」
ガタイのいい男子とぶつかってしまった。
「あ、いや、えっと…」
「碧は忙しーんだから、もういいでしょ!碧も怪我してないし!じゃあね!」
「あっ、空!」
空は相手を威嚇するようで、男性恐怖症の私を守ってくれたのだ。
「ありがと、空。また守って貰っちゃったね。」
「いーいーの!もう、ちゃんと前見て歩いてよー?」
「はーい!」
空と別れ、一人で海に向かう。そしていつもどおりの仕事をこなし、戻ってくると海岸には一人の男の子がいた。避けて通ろうとしたら、声をかけられた。
「ねえ、君。」
「え、えと……」
困る……ってかやだ……。
「君さ、何しに海に行ってたの??こんな時間に危ないよ??」
「っ………」
「ほら、びしょ濡れじゃん。いつか溺れちゃうよ??」
あーもうめんどくさい…。男子やだなぁ…
「……。」
「あんまり泳げなさそうだし……まさか自殺未遂っ……!?」
なんでそんなこと……なめないで!!
「私が海に入ってるのは仕事なんですっ!!海になれてる地元民をなめないでくださいっ!!」
「あははははははっ!!!!!」
男の人はよく響く声で高笑いした。
「何がおかしいんですか!」
何よ、この人!!
「いや、君が無視しようとするからからかっただけなんだけどさ、いきなり怒り出すから面白くって!てか思ったよりちゃんと喋れるじゃん!」
どこまでからかったら気が済むのよ……
「別に喋れますけど、あまり男子が好きじゃないんです。」
「そういうことか!じゃあ、僕は快。よろしくな!」
「なんでそうなるんですか!?…快さん。……名前、碧、です。」
「ありがと、碧!!!」
「いきなり呼び捨てしないで、ください!これだから男子は……。」
「そんなこと言っていいのかな??僕を舐めちゃあいけないよ??」
なんなの、この人!!!
「じゃあ、私はこれで。」
無駄に時間使っちゃった……もう帰ろ……
「楽しみにしてるよ、碧。」
なにをよ!!ホント変な人……。

このときは変な人という印象しかなくて、私は翌日びっくりすることになる。