国王陛下はまず最初に、遠方からやってきた私に、ねぎらいの言葉をかけ、続いて、『息子の命を流行り病から救ってくれたことに感謝する』とおっしゃられた。



(息子……?)



 私には覚えがなかった。王の息子――つまりは王子と出会う機会があったのなら、必ず記憶に残っているはずだ。



 誰かを通じて私の薬を受け取ったのだろうか?



 王子が直接自分の口から礼を言いたいとのことで、急遽、王子とも謁見することとなった。









「あ……!」



 私は必死に声を抑えようとしたが、全部は抑えきれなかった。それほど私は驚かされた。 



 謁見の間に現れたのは、下級役人のフィリップだったのだ。



 〈第一王子のフィリップ〉と国王陛下に紹介されると、フィリップは私に向かって微笑んだ。



 他人の空似だろうか? それにしては似すぎている上に、名前までもが一緒だ。こんな偶然はあり得ない。



「ご無沙汰しております、魔女様。いや、マリアさん。第一王子のフィリップです」



 私の疑問に答えるかのように、フィリップは――フィリップ王子は挨拶をした。