高校一年の時の文化祭の準備の時、同じグループになって岡本君と初めてちゃんと話をしたのを覚えている。
君の笑顔や声がキラキラ眩しかった。
話をするたびに、共通点がいっぱい見つかって二人ではしゃいだ。
好きな教科とか、好きな季節とか、好きな色とか、そんな小さい共通点の積み重ねで、私の「好き」も段々と大きくなった。
だから、文化祭の後夜祭で告白された時は世界で一番幸せだと思った。
思わず、「嬉しいよ。ありがとう。私も、岡本君のこと好き……」なんて言いながら泣いちゃったのは、今思い出してもちょっと恥ずかしい。
超格好いいとか言うわけでもないのに、いつでも見ていたい。
いつでも側にいたい。
そんな風に思った男子なんて初めてだった。
文化祭効果で付き合い始めたカップルなんて、文化祭の熱が冷めるとすぐ別れちゃうなんて言われていた。
だけど、そんなの私たちには関係ないと思っていた。
だって、こんなに全部大好きだから。
毎日一緒にいた。
一緒にいられれば幸せだった。
これからも毎日ずっと一緒だといいな、とか思った。
私の好きな物を全部好きでいてくれると思った。
彼の好きな物は全部大好きになれると思った。
「ごめん。理乃が勧めてくれた曲、俺によくわからなかった」
だからそんな些細なことがショックだった。
「いい歌詞だし、優しくて包まれるような歌声が最高じゃん。サビのとことか、切なくて泣けるじゃん」
私が最近ヘビロテしている失恋を歌った曲だ。
女性歌手バージョンと男性歌手バージョンがあって、歌詞が呼応していて両方神曲だと思うのに。
「本当ごめん。多分、俺理乃が初恋で、失恋ってよく理解できてないんだと思う。俺、理乃との思い出、あの曲みたいにポケットに入らないくらいいっぱいあるし……」
「そんなの想像力を働かせるんだよ。普通、身近で殺人事件なんて起きて探偵が解決したり、謎の実を食べて超能力を得たりしないでしょ?」
そう説明する私に、彼はとても傷付いた顔をした。
それからは段々疎遠になっていった。
毎日メッセージを送ってくれていたのが来なくなり、私から送ってもなかなか返事も来なくなった。放課後も一緒に過ごさなくなり、休日も会わなくなった。
教室でも、あいさつもしないし、私が岡本君に視線を送ると目を逸らされた。
これが、自然消滅というやつなのだろう。
「文化祭効果、理乃のところも切れちゃったのか」
と、友達に言われた。
そんなんじゃない、と言い返したかったが、そうなのかもしれないと思い返して、「そうみたい」と軽く答えた。
一ヶ月くらいの幸せな日々。
私はそんなキラキラした思い出をぎゅうっとポケットに詰め込んで前を向いて歩く。
だけど、時々思い出して夜一人で涙を流す。
彼が好きだと言っていたのは昔の日本のバンドの曲だった。リズムも単調だし今風の音楽じゃなかったからちゃんと聴かなかったなぁ、と改めて聴いてみる。
「へえ、案外いい曲じゃん」
何度も繰り返し聴いて、私も曲に合わせて歌う。
彼も、私をポケットに入れて連れ去りたいとか思ったこともあったのかな。
次は、私みたいな自己中じゃなくてもっと彼を受け入れてくれる優しい女の子を
好きになってほしい。
そう思ってたくさん泣いてから、私はしっかり前を向いて生きていこうと思った。
君の笑顔や声がキラキラ眩しかった。
話をするたびに、共通点がいっぱい見つかって二人ではしゃいだ。
好きな教科とか、好きな季節とか、好きな色とか、そんな小さい共通点の積み重ねで、私の「好き」も段々と大きくなった。
だから、文化祭の後夜祭で告白された時は世界で一番幸せだと思った。
思わず、「嬉しいよ。ありがとう。私も、岡本君のこと好き……」なんて言いながら泣いちゃったのは、今思い出してもちょっと恥ずかしい。
超格好いいとか言うわけでもないのに、いつでも見ていたい。
いつでも側にいたい。
そんな風に思った男子なんて初めてだった。
文化祭効果で付き合い始めたカップルなんて、文化祭の熱が冷めるとすぐ別れちゃうなんて言われていた。
だけど、そんなの私たちには関係ないと思っていた。
だって、こんなに全部大好きだから。
毎日一緒にいた。
一緒にいられれば幸せだった。
これからも毎日ずっと一緒だといいな、とか思った。
私の好きな物を全部好きでいてくれると思った。
彼の好きな物は全部大好きになれると思った。
「ごめん。理乃が勧めてくれた曲、俺によくわからなかった」
だからそんな些細なことがショックだった。
「いい歌詞だし、優しくて包まれるような歌声が最高じゃん。サビのとことか、切なくて泣けるじゃん」
私が最近ヘビロテしている失恋を歌った曲だ。
女性歌手バージョンと男性歌手バージョンがあって、歌詞が呼応していて両方神曲だと思うのに。
「本当ごめん。多分、俺理乃が初恋で、失恋ってよく理解できてないんだと思う。俺、理乃との思い出、あの曲みたいにポケットに入らないくらいいっぱいあるし……」
「そんなの想像力を働かせるんだよ。普通、身近で殺人事件なんて起きて探偵が解決したり、謎の実を食べて超能力を得たりしないでしょ?」
そう説明する私に、彼はとても傷付いた顔をした。
それからは段々疎遠になっていった。
毎日メッセージを送ってくれていたのが来なくなり、私から送ってもなかなか返事も来なくなった。放課後も一緒に過ごさなくなり、休日も会わなくなった。
教室でも、あいさつもしないし、私が岡本君に視線を送ると目を逸らされた。
これが、自然消滅というやつなのだろう。
「文化祭効果、理乃のところも切れちゃったのか」
と、友達に言われた。
そんなんじゃない、と言い返したかったが、そうなのかもしれないと思い返して、「そうみたい」と軽く答えた。
一ヶ月くらいの幸せな日々。
私はそんなキラキラした思い出をぎゅうっとポケットに詰め込んで前を向いて歩く。
だけど、時々思い出して夜一人で涙を流す。
彼が好きだと言っていたのは昔の日本のバンドの曲だった。リズムも単調だし今風の音楽じゃなかったからちゃんと聴かなかったなぁ、と改めて聴いてみる。
「へえ、案外いい曲じゃん」
何度も繰り返し聴いて、私も曲に合わせて歌う。
彼も、私をポケットに入れて連れ去りたいとか思ったこともあったのかな。
次は、私みたいな自己中じゃなくてもっと彼を受け入れてくれる優しい女の子を
好きになってほしい。
そう思ってたくさん泣いてから、私はしっかり前を向いて生きていこうと思った。