あらためて私が席に座ったところで、秋元くんはわざわざ乾杯をして、放送部員のみんなに紹介をしてくれた。
秋元くんは「山野がいなかったらあのMVは完成しなかった。本当に凄い奴だよ」なんて大袈裟に紹介をしてくれたせいで、なぜか私は何人かの放送部員の子に尊敬の眼差しを向けられてしまった。
「ねえ。山野さんって、第二校舎の階段で絵を描いてたりする?」
放送部員の関本さんが、オレンジジュースを注ぎながら私に訪ねる。思い切り見られてたんだ。
「あ、いや、えっと、別に、そんなこと……」
「でもさ、頻繁に出入りしてなかった?」
うわあ、どうやって誤魔化そう。しかも目の前に安達先生がいるんですけど。
「なんだ、山野、屋上に興味があるのか」
「へ?いや、あの」
あたふたしていると、安達先生が予想外なことを口にする。
「行ってみるか?」
「学校の屋上ちょっと憧れてたんだー!海幻、行こうよ!」
私の代わりに香代ちゃんが喰い気味に返事をする。そんなノリで行って良いのだろうか。
「あそこな、今は立ち入り禁止だけど、定期的に俺達教師が持ち回りで綺麗にしてるんだ。献花台もあるしな。この前事故に遭った生徒のことも訊いてきたし。行きたかったら鍵を借りて来てやるぞ」
「お、お願いします」
もしかして成瀬くんはそこにいるのでは、という期待をしないと言えば嘘になる。でもそれ以上に、献花台に花を添えておきたいと思った。
「じゃあ今から鍵を借りてくるから、川瀬、山野を連れて行ってきなさい。ただし、あまり他言はするなよ。お前らも」
秋元くんは「山野がいなかったらあのMVは完成しなかった。本当に凄い奴だよ」なんて大袈裟に紹介をしてくれたせいで、なぜか私は何人かの放送部員の子に尊敬の眼差しを向けられてしまった。
「ねえ。山野さんって、第二校舎の階段で絵を描いてたりする?」
放送部員の関本さんが、オレンジジュースを注ぎながら私に訪ねる。思い切り見られてたんだ。
「あ、いや、えっと、別に、そんなこと……」
「でもさ、頻繁に出入りしてなかった?」
うわあ、どうやって誤魔化そう。しかも目の前に安達先生がいるんですけど。
「なんだ、山野、屋上に興味があるのか」
「へ?いや、あの」
あたふたしていると、安達先生が予想外なことを口にする。
「行ってみるか?」
「学校の屋上ちょっと憧れてたんだー!海幻、行こうよ!」
私の代わりに香代ちゃんが喰い気味に返事をする。そんなノリで行って良いのだろうか。
「あそこな、今は立ち入り禁止だけど、定期的に俺達教師が持ち回りで綺麗にしてるんだ。献花台もあるしな。この前事故に遭った生徒のことも訊いてきたし。行きたかったら鍵を借りて来てやるぞ」
「お、お願いします」
もしかして成瀬くんはそこにいるのでは、という期待をしないと言えば嘘になる。でもそれ以上に、献花台に花を添えておきたいと思った。
「じゃあ今から鍵を借りてくるから、川瀬、山野を連れて行ってきなさい。ただし、あまり他言はするなよ。お前らも」