そろそろ自分の置かれた状況を確認しなければと思い、ゆっくりと辺りを見渡してみると、沢山の小枝や葉が私を取り囲んでいた。

小枝が身体の至る所を突ついてちくちくしてきたから慌てて身体を捩(よじ)らせると、パキパキと枝が折れる音する。

いててと捩らせた視線の先には、鮮やかなピンクや紫の花弁が見えて、ようやく自分が道路脇にあるツツジの街路樹に埋もれていることを確信する。

轢かれた拍子に飛ばされたのだろうか。

でも、道路脇にある街路樹に私がいるのはちょっと不自然だ。

おまけに身体はどこも痛くないし、問題なく動く。

ケガひとつしていないということは、ひょっとして私の身に奇跡が起こったのだろうか、なんて単純な思考が頭をよぎったけれど、すぐに私なんかにそんなものが起こるはずがないだろうと、考えを改める。

そういえば、轢かれそうになったこの子を抱きかかえた瞬間、後ろから誰かの声が聞こえたような。

ひょっとして……