「お前らまだ残ってたのか。そろそろ帰れよ」
「すみません!あとちょっとで完成なんです!そうだ、安達先生も一緒に見ましょうよー!」
軽音楽部の顧問をしている安達先生まで来てしまって、状況はさらにカオスに。もっとも、香代ちゃんは安達先生に対して一歩も引かず、むしろ仲間に引き込もうとする。
「おお!ついに完成したか!よし、ちょっと待ってくれ」
あっさり引き込まれちゃった。
安達先生は部室の隅にある椅子を見つけると、私のところに持ってくる。
失礼かもしれないけれど、安達先生は軽音楽部と言うより、ラグビー部の顧問の方がしっくりくるのではないか思うほど身体も声も大きい。
地声が大きくてびっくりするから私は少し苦手なのだけれど、暴走しがちな香代ちゃんをいつも上手く制御していたり、よく曲作りに悩む秋元くんの相談に乗っていたりするところを何度も見たことがある。
なんだかんだ言いながら今回のMV製作を一番応援してくれているのは安達先生なのかもしれない。
動画はテロップのずれが少しあったぐらいで、それ以外に大きく直すところは見当たらなかった。
私の描いた背景や女の子のイラストは何の違和感も無く香代ちゃんの歌声に溶け込んでいた。秋元くんの編集技術は本当にすごい。
「いい……!すっごくいい!」
香代ちゃんは動画が終わってもしばらく画面を見つめたまま、噛み締めるように言った。
「まだ少し直すところがあるけど大方完成だな。うん、山野の絵も上手くに馴染んでる」
「秋元くんの編集のおかげだよ」
「最高ー!海幻に声かけて良かったー!」
「わっ!」
そう言って香代ちゃんは再び私に抱きつく。
何度か香代ちゃんの頭をぽんぽんと撫でて落ち着かせていると、後ろから鼻を啜っている音が聞こえてきた。
「お前らすごいな。毎日遅くまで頑張ってたもんな……」
「え、まじ?先生泣いてるの?」
メガネを外して目元を擦っている安達先生は、やっぱり熱い先生だと思った。よく考えると、大人が目の前で泣いているところは初めて見たかもしれない。
安達先生を茶化している香代ちゃん達を見て、ようやく私も緊張から解放されたのか、ほっと胸を撫で下ろした。
「すみません!あとちょっとで完成なんです!そうだ、安達先生も一緒に見ましょうよー!」
軽音楽部の顧問をしている安達先生まで来てしまって、状況はさらにカオスに。もっとも、香代ちゃんは安達先生に対して一歩も引かず、むしろ仲間に引き込もうとする。
「おお!ついに完成したか!よし、ちょっと待ってくれ」
あっさり引き込まれちゃった。
安達先生は部室の隅にある椅子を見つけると、私のところに持ってくる。
失礼かもしれないけれど、安達先生は軽音楽部と言うより、ラグビー部の顧問の方がしっくりくるのではないか思うほど身体も声も大きい。
地声が大きくてびっくりするから私は少し苦手なのだけれど、暴走しがちな香代ちゃんをいつも上手く制御していたり、よく曲作りに悩む秋元くんの相談に乗っていたりするところを何度も見たことがある。
なんだかんだ言いながら今回のMV製作を一番応援してくれているのは安達先生なのかもしれない。
動画はテロップのずれが少しあったぐらいで、それ以外に大きく直すところは見当たらなかった。
私の描いた背景や女の子のイラストは何の違和感も無く香代ちゃんの歌声に溶け込んでいた。秋元くんの編集技術は本当にすごい。
「いい……!すっごくいい!」
香代ちゃんは動画が終わってもしばらく画面を見つめたまま、噛み締めるように言った。
「まだ少し直すところがあるけど大方完成だな。うん、山野の絵も上手くに馴染んでる」
「秋元くんの編集のおかげだよ」
「最高ー!海幻に声かけて良かったー!」
「わっ!」
そう言って香代ちゃんは再び私に抱きつく。
何度か香代ちゃんの頭をぽんぽんと撫でて落ち着かせていると、後ろから鼻を啜っている音が聞こえてきた。
「お前らすごいな。毎日遅くまで頑張ってたもんな……」
「え、まじ?先生泣いてるの?」
メガネを外して目元を擦っている安達先生は、やっぱり熱い先生だと思った。よく考えると、大人が目の前で泣いているところは初めて見たかもしれない。
安達先生を茶化している香代ちゃん達を見て、ようやく私も緊張から解放されたのか、ほっと胸を撫で下ろした。