照りつける日差しが落ち着き、蝉の鳴き声が変わる秋の初め。
すっかり日が暮れた軽音楽部の部室は、黄ばんだ蛍光灯が私達三人をやさしく照らす。
二ヶ月にも及ぶMV製作はいよいよ佳境である最終チェックが終わりを迎え始めていた。
「秋元くん、この空のもう少し濃い目の方がいい?」
「いや、このままでいこう」
「海幻、その女の子のスカートのひらひら、もう少し濃くできる?」
「ちょっと待って。やってみる」
いつしか私は下の名前で呼ばれるようになり、私も川瀬さんを香代ちゃんと呼ぶようになった。さすがに秋元くんまで下の名で呼ぶには至っていないけれど。
「よし。これで全部繋がったな。一回最初から流してみよう」
再生ボタンを押そうとする秋元くんを固唾を呑んで見守る。
「やばいー!ドキドキしてきたー!」
「ひゃあっ!」
興奮を抑えきれない香代ちゃんに抱きつかれた私は、柄にもなく大きな悲鳴を上げてしまう。
「か、川瀬も山野も落ち着け!」
「秋元くんだって指超震えてんじゃん!」
「いや、だって、これで完成だと思うと、ちょっと……感慨深いというか」
「まだ終わってないよ」
「そうだぞ!山野の言う通りだ!」
連日の徹夜と完成間近のテンションを制御できないでいると、突然、部室の扉が開いた。
すっかり日が暮れた軽音楽部の部室は、黄ばんだ蛍光灯が私達三人をやさしく照らす。
二ヶ月にも及ぶMV製作はいよいよ佳境である最終チェックが終わりを迎え始めていた。
「秋元くん、この空のもう少し濃い目の方がいい?」
「いや、このままでいこう」
「海幻、その女の子のスカートのひらひら、もう少し濃くできる?」
「ちょっと待って。やってみる」
いつしか私は下の名前で呼ばれるようになり、私も川瀬さんを香代ちゃんと呼ぶようになった。さすがに秋元くんまで下の名で呼ぶには至っていないけれど。
「よし。これで全部繋がったな。一回最初から流してみよう」
再生ボタンを押そうとする秋元くんを固唾を呑んで見守る。
「やばいー!ドキドキしてきたー!」
「ひゃあっ!」
興奮を抑えきれない香代ちゃんに抱きつかれた私は、柄にもなく大きな悲鳴を上げてしまう。
「か、川瀬も山野も落ち着け!」
「秋元くんだって指超震えてんじゃん!」
「いや、だって、これで完成だと思うと、ちょっと……感慨深いというか」
「まだ終わってないよ」
「そうだぞ!山野の言う通りだ!」
連日の徹夜と完成間近のテンションを制御できないでいると、突然、部室の扉が開いた。