AM11:30
「これにて、第30回卒業証書授与式を閉じます。卒業生退場」
僕にとって今日はとても大事な日だ。体育館から退場し終わると、僕は一目散に列から抜け出しとある場所へと急いだ。その場所には、一人の女生徒が立っていた。彼女も手には、卒業証書が入った筒を握っていた。
「ごめん。遅くなった」
「いいよ。私たちの方が退場するのが早かったもん」
彼女は僕の謝罪を笑顔で許してくれた。
「今日は何処へ行こうか?」
僕が、彼女に何処へ行きたいかの意見を聞くと、彼女からは「この街を悟君と見て回りたいかな。今日でこの街も見納めだし」彼女は、空を見ながら悲しそうな顔でそう呟いた。
「とりあえず、行こうか。カノン」
「うん」
僕たちは手を繋ぎ、学校の敷地内から出て、デートへと向かった。最初に来たのは、この街で唯一の遊園地だった。僕は、受付で二人分の入場券を購入し、遊園地の中へと入った。遊園地に入って、最初に遊んだのは、ジェットコースターだった。僕とカノンは隣に座って、ジェットコースターで楽しめる、音とスリルを目いっぱい楽しむのだった。
「次は何で遊びたい?」
「私は、お化け屋敷かなー」
「お、お化け屋敷ね。わ、わかったよ」
カノンは僕の引き攣った笑顔を見て、クスリと笑った。それもそのはずだ、カノンは、僕がホラーの類が苦手なことを知っている。だから、あえてお化け屋敷を選んだのだろう。僕は覚悟を決めて、お化け屋敷の入り口にカノンと一緒に立った。案内役の係員に先導されながら、僕たちはお化け屋敷へと足を踏み入れた。
30分ほどしてやっとお化け屋敷から抜けた僕の足は、生まれたての小鹿のようにプルプルと震えていた。カノンはそんな僕の姿を見て、クスクスと小さく笑っていた。その後は、別のアトラクションに数回搭乗して、僕とカノンは遊園地を後にして、携帯で時間を確認すると、PM2:30と示してあった。
「次は何処へ行こうか?」
携帯をしまうと、僕はカノンに尋ねた。カノンは悩んでいたが、ショッピングモールに行きたいと答えたため、僕たちはショッピングモールへと向かった。ショッピングモールへと着くと、カノンは僕の腕を引っ張り、男性物の服屋へと連れていかれた。
「悟君の服、私が選んであげる」
「いいよ。服なんて、それよりもカノンがしたいことを――」
「これが私したいことだから、悟君は私に服を選ばれてて」
しばらく、僕が椅子に座って待っていると、何着かの服を手に、カノンが戻ってきた。僕はカノンが持ってきた服を順番に試着していくことになった。カノンは試着した服を見せるたびに、「さすが私」と言わんばかりに胸を張っていた。結局、試着した服の数着を購入し、僕たちは服屋を後にした。次に、僕たちは遅めの昼食をとることにした。ショッピングモール内でレストラン街に移動し、カノンの希望もあって、パスタのお店に入ることになった。席について、メニュー表を見て、カノンは和風パスタを頼み、僕はカルボナーラを頼んだ。それぞれのパスタが届くと、カノンが僕のパスタにフォークを伸ばして、奪っていった。会話しながら、パスタを食べ進め、しばらくして二人とも完食すると、勘定して店を後にした。
「結局いつものようなデートになったね」
「えぇ、そうね。でも最後にこの辺りを歩きましょう」
そう少し言葉を交わし、僕たちは日が傾き始めている中を歩き始めた。そこは、二人で今日まで登校した高校への通学路だった。ピンク色を見せている桜や、まだ蕾の状態の桜が入り乱れた通学路を、二人でゆっくりと歩き学校の前まで来ていた。そこで、僕たちの足は止まり、前を歩くカノンが、こちらを向いたことで、互いに向かい合う状態になった。そこで第一声を発したのはカノンだった。
「間宮悟君、今まで私と付き合ってくれてありがとう。大学に行っても頑張ってね。私も応援しているし、悟君ならきっと夢をかなえられるよ」
僕はカノンの言葉に涙を流しながら、お返しの言葉を伝えるために口を開いた。
「七瀬カノンさん、今まで僕と付き合ってくれてありがとう。カノンもアメリカに行っても頑張ってね。俺もカノン頑張れるように、日本から応援しているよ」
二人で思いを伝えあい、抱き合って涙を流した。
「「ずっと、ずっと好きでした。さよなら好きな人」」
そう最後に言い、僕とカノンは互いに後ろを向いて、帰路につくのだった。
AM7:30
「今日はカノンがアメリカへ発つ日か。空港まで見送りにいかないといけない」
そうして、僕はカノンに選んでもらった服の内に一番気に入った服を着て、カノンが発つ予定の空港へと足を運んだ。空港へついてカノンを発見すると、声をかけた。
「カノン、何度も言ってごめんね。アメリカでも頑張って、僕もカノンに負けないように頑張るから」
「悟君ありがとう。悟君こそ、辛いことに負けずに頑張ってね。私が好きななった君ならきっと乗り越えられるから」
「帰ってきたときには、一緒にお酒でも飲んでさ、アメリカで体験したことを聞かせてよ」
最後の言葉を交わすと、カノンは飛行機の搭乗口へとゆっくり歩いて行った。
僕たちの恋は昨日で終わった。この恋は春に咲いた桜が散るように忘れられていく恋。だけど僕は忘れないよ。だって、僕の初恋の相手は君だから。この恋は一生忘れられない思い出となるだろう。
私たちの恋は昨日で終わった。今日からは夢への第一歩が始まる。だから、振り返らないよ。振り返ったら、悟君への思いを捨てきれなくなりそうだから。だけど、忘れないでね。この恋はまだ終わらせないんだから。
「これにて、第30回卒業証書授与式を閉じます。卒業生退場」
僕にとって今日はとても大事な日だ。体育館から退場し終わると、僕は一目散に列から抜け出しとある場所へと急いだ。その場所には、一人の女生徒が立っていた。彼女も手には、卒業証書が入った筒を握っていた。
「ごめん。遅くなった」
「いいよ。私たちの方が退場するのが早かったもん」
彼女は僕の謝罪を笑顔で許してくれた。
「今日は何処へ行こうか?」
僕が、彼女に何処へ行きたいかの意見を聞くと、彼女からは「この街を悟君と見て回りたいかな。今日でこの街も見納めだし」彼女は、空を見ながら悲しそうな顔でそう呟いた。
「とりあえず、行こうか。カノン」
「うん」
僕たちは手を繋ぎ、学校の敷地内から出て、デートへと向かった。最初に来たのは、この街で唯一の遊園地だった。僕は、受付で二人分の入場券を購入し、遊園地の中へと入った。遊園地に入って、最初に遊んだのは、ジェットコースターだった。僕とカノンは隣に座って、ジェットコースターで楽しめる、音とスリルを目いっぱい楽しむのだった。
「次は何で遊びたい?」
「私は、お化け屋敷かなー」
「お、お化け屋敷ね。わ、わかったよ」
カノンは僕の引き攣った笑顔を見て、クスリと笑った。それもそのはずだ、カノンは、僕がホラーの類が苦手なことを知っている。だから、あえてお化け屋敷を選んだのだろう。僕は覚悟を決めて、お化け屋敷の入り口にカノンと一緒に立った。案内役の係員に先導されながら、僕たちはお化け屋敷へと足を踏み入れた。
30分ほどしてやっとお化け屋敷から抜けた僕の足は、生まれたての小鹿のようにプルプルと震えていた。カノンはそんな僕の姿を見て、クスクスと小さく笑っていた。その後は、別のアトラクションに数回搭乗して、僕とカノンは遊園地を後にして、携帯で時間を確認すると、PM2:30と示してあった。
「次は何処へ行こうか?」
携帯をしまうと、僕はカノンに尋ねた。カノンは悩んでいたが、ショッピングモールに行きたいと答えたため、僕たちはショッピングモールへと向かった。ショッピングモールへと着くと、カノンは僕の腕を引っ張り、男性物の服屋へと連れていかれた。
「悟君の服、私が選んであげる」
「いいよ。服なんて、それよりもカノンがしたいことを――」
「これが私したいことだから、悟君は私に服を選ばれてて」
しばらく、僕が椅子に座って待っていると、何着かの服を手に、カノンが戻ってきた。僕はカノンが持ってきた服を順番に試着していくことになった。カノンは試着した服を見せるたびに、「さすが私」と言わんばかりに胸を張っていた。結局、試着した服の数着を購入し、僕たちは服屋を後にした。次に、僕たちは遅めの昼食をとることにした。ショッピングモール内でレストラン街に移動し、カノンの希望もあって、パスタのお店に入ることになった。席について、メニュー表を見て、カノンは和風パスタを頼み、僕はカルボナーラを頼んだ。それぞれのパスタが届くと、カノンが僕のパスタにフォークを伸ばして、奪っていった。会話しながら、パスタを食べ進め、しばらくして二人とも完食すると、勘定して店を後にした。
「結局いつものようなデートになったね」
「えぇ、そうね。でも最後にこの辺りを歩きましょう」
そう少し言葉を交わし、僕たちは日が傾き始めている中を歩き始めた。そこは、二人で今日まで登校した高校への通学路だった。ピンク色を見せている桜や、まだ蕾の状態の桜が入り乱れた通学路を、二人でゆっくりと歩き学校の前まで来ていた。そこで、僕たちの足は止まり、前を歩くカノンが、こちらを向いたことで、互いに向かい合う状態になった。そこで第一声を発したのはカノンだった。
「間宮悟君、今まで私と付き合ってくれてありがとう。大学に行っても頑張ってね。私も応援しているし、悟君ならきっと夢をかなえられるよ」
僕はカノンの言葉に涙を流しながら、お返しの言葉を伝えるために口を開いた。
「七瀬カノンさん、今まで僕と付き合ってくれてありがとう。カノンもアメリカに行っても頑張ってね。俺もカノン頑張れるように、日本から応援しているよ」
二人で思いを伝えあい、抱き合って涙を流した。
「「ずっと、ずっと好きでした。さよなら好きな人」」
そう最後に言い、僕とカノンは互いに後ろを向いて、帰路につくのだった。
AM7:30
「今日はカノンがアメリカへ発つ日か。空港まで見送りにいかないといけない」
そうして、僕はカノンに選んでもらった服の内に一番気に入った服を着て、カノンが発つ予定の空港へと足を運んだ。空港へついてカノンを発見すると、声をかけた。
「カノン、何度も言ってごめんね。アメリカでも頑張って、僕もカノンに負けないように頑張るから」
「悟君ありがとう。悟君こそ、辛いことに負けずに頑張ってね。私が好きななった君ならきっと乗り越えられるから」
「帰ってきたときには、一緒にお酒でも飲んでさ、アメリカで体験したことを聞かせてよ」
最後の言葉を交わすと、カノンは飛行機の搭乗口へとゆっくり歩いて行った。
僕たちの恋は昨日で終わった。この恋は春に咲いた桜が散るように忘れられていく恋。だけど僕は忘れないよ。だって、僕の初恋の相手は君だから。この恋は一生忘れられない思い出となるだろう。
私たちの恋は昨日で終わった。今日からは夢への第一歩が始まる。だから、振り返らないよ。振り返ったら、悟君への思いを捨てきれなくなりそうだから。だけど、忘れないでね。この恋はまだ終わらせないんだから。